テレビCMやダイレクトメールなど、集客や購入を促す方法はたくさんありますが、「チラシ」も代表的なマーケティング手法です。

しかし、チラシにはいくつかの種類があり、内容や配布エリアなどによって得られる効果が変わるため、うまく活用しなければ思ったような成果を得られない場合があります。

そこで今回は、チラシの種類や得られる効果、チラシの効果を高める方法や効果測定方法について詳しく説明します。

チラシ配布で期待できる効果とは?

チラシを配布すると企業や店舗にどのようなメリットが生じるのでしょうか。チラシ配布で期待できる効果には、次の6つがあります。

チラシ配布で期待できる効果
  1. 新規顧客を呼び込める
  2. リピーターの確保にもつながる
  3. 企業の認知度やブランド力を高められる
  4. 保管してもらいやすい
  5. コストを抑えて集客できる
  6. 視認性が高く注目してもらいやすい

以下では、これらの効果について詳しく説明します。

新規顧客を呼び込める

チラシを配布すると、エリアを限定しつつ不特定多数の消費者に企業や店舗の情報を届けられるため、新規顧客を呼び込みやすくなります。

特に、地元住民の集客を効率的におこなえるので、「地域に密着したラーメン店をオープンする」「美容室のリニューアルオープンイベントを開催する」といった店舗では、チラシを配布するメリットが大きいでしょう。

リピーターの確保にもつながる

チラシ配布は、新規顧客の獲得だけでなくリピーターの確保にもつながります。

「不特定多数の消費者に配布すると、リピーターを確保するのは難しいのでは?」と思うかもしれません。しかし、事業を続けていると、顧客の居住エリアや年齢層といった情報が多く集まります。

顧客分析の結果、「〇〇市で店舗を利用する顧客が多い」「新聞を購読している主婦の来店頻度が高い」といった傾向が分かれば、エリアや手法を絞ってチラシを配布することで、リピーターを確保しやすくなります。

企業の認知度やブランド力を高められる

チラシは、新規顧客やリピーターを獲得するだけでなく、企業の認知度やブランド力を高めることにもつながります。定期的にポスティングや新聞折込などで消費者に企業や店舗の印象を与えておくと、徐々に認知度が高まるからです。

また、心理学の用語に「単純接触効果(ザイオンス効果)」というものがあります。これは何度も接触するうちに好感度が高くなりやすいという効果のことです。チラシによって接触頻度が増えるほど、企業や店舗に好感を持たれやすくなるといわれています。

もちろん、あまりにも配布する頻度が多すぎるとイメージを悪化させかねないので注意が必要です。「セール情報を月に1回チラシで送る」など、適度なペースを保って継続すれば、企業や店舗への親近感を強めてブランド力を向上させられるでしょう。

参考:ザイオンス効果(単純接触効果)とは | ビジネス・心理学用語集:意味・解説など

保管してもらいやすい

チラシに記載されている内容によっては、「土日のセール情報だから週末まで保管しておこう」のように、保管してもらいやすくなります。デジタルで配信される広告とは違って保管が容易なので、企業や店舗の情報を継続的に与えられます。

また、マンションの購入情報のように、間取りやローンの返済プランが記載されているチラシの場合、数か月や数年にわたって保管してもらえる可能性があります。保管方法によっては、顧客が「情報を確認したい」と思った時点ですぐにチェックできるので、時間をかけて購入を検討してもらえます。顧客は商品購入を検討する段階において競合と比較することも考えられますが、先に説明したザイオンス効果によって、比較時に何度も保管しているチラシを目にしてもらえることが好感度の上昇に繋がる可能性があります。

コストを抑えて集客できる

チラシを印刷する枚数や配布エリアによって差がありますが、新聞折り込みチラシの場合で1枚あたりの配布コストが平均3円~5円とされており、選ぶ方法によってはコストを抑えて集客することが可能です。

具体例として、「〇〇市の中でも△△町に絞って継続的にポスティングチラシを投函する」といった戦略を取れば、社内でチラシをデザイン・印刷し、従業員がポスティングに回ることにより業務の範囲内で販売促進できます。この方法では、持続的に消費者にアピールすることにもつながるので、企業や店舗のイメージを記憶に残しやすく、来店や問い合わせといった行動に結び付けやすくなります。

視認性が高く注目してもらいやすい

チラシ配布は紙媒体の販売促進方法なので、視認性が高く注目してもらいやすいという特長もあります。特にポスティングチラシの場合、ポストから取り出す際に確実に手に取ってもらえるので、デザインで注意をひくことさえできれば内容を読み進めてもらいやすいです。

「期間限定のお得情報」「クーポンを添付しています」のように、消費者がメリットを感じる内容にしていれば、チラシに興味を持ってもらいやすいでしょう。

チラシの効果を高めるコツとは?

ここまでは、チラシ配布で得られる効果について説明しました。チラシ配布の効果を高めてより多くの集客や売上につなげるには、次のコツを意識しておくことも大切です。

チラシの効果を高めるコツ
  1. 事前に市場調査やターゲット設定をおこなう
  2. 魅力的なデザインを心がける
  3. 定期的にチラシの効果を測定する

以下では、これらのコツについて掘り下げて説明します。

事前に市場調査やターゲット設定をおこなう

チラシの効果を高めるには、事前に市場調査やターゲット設定をすることが大切です。エリアごとの人口や年齢、職業や収入といった情報を把握していなければ、アピールしたい消費者層に情報を届けにくいからです。

市場調査の結果、「○○市の中でも△△町には主婦が多く住んでいる」という傾向がつかめれば、「△△町に住む40代の主婦に向けて、新しく開発した化粧品の体験イベントの案内を送る」のように、ターゲットを絞り込んでチラシをつくれます。配布エリアやターゲットを設定してチラシを配布すれば、より顧客になりやすい人にアピールできるでしょう。

魅力的なデザインを心がける

チラシは、デザインによって反響が大きく変わります。特に、レイアウトや色は重要で、手に取ったあとに読み進めてもらえるかどうかを左右します。

レイアウトは、見出しで消費者の目を惹いたうえで、横書きなら「Z」を描くように左上から右下へ、縦書きなら「N」を描くように右上から左下に向けて読み進められるようにしましょう。

これは人間の視線の動きの法則を活かしたもので、「Zの法則」「Nの法則」と呼ばれます。

人間の視線の動きであるZ型とN型

色を決める際は、色数が多すぎると読みにくくなるので、「薄いオレンジベースに緑色の枠線で各項目を囲い、黒で文章を記載する」のように、テーマカラーを決めて統一感を持たせましょう。

効果のあるチラシの作り方については、こちらの記事も参考にしてみてください。

効果のあるチラシ集客のコツをご紹介│デザインや作成方法についても解説

定期的にチラシの効果を測定する

チラシは複数回配布するケースが多いので、定期的にチラシの効果を測定して改善につなげることが大切です。

具体的な効果測定方法は後述しますが、「3ヵ月に1回チラシによる集客数を測定する」「2種類のチラシを作成して効果の高いほうを継続する」のような施策を取れば、チラシによる集客数や売上を高めやすくなります。

チラシ配布の効果測定方法とは?

チラシは配布するだけで終わってしまっては、本当にその効果があったのかが曖昧なままになってしまいます。チラシ配布の施策にかけたコストや時間が見合っていたのか、ターゲット設定は正しいのかなど、目的と結果を明確にすることで、今後の施策計画の参考にしたり、次に配布するチラシの効果を高めたりすることができます。

効果測定について、チラシの場合は検証期間や測定方法をどのようにすればよいのか確認しておきましょう。

検証期間はどのくらいがいいのか

チラシの効果測定を行う際は、検証期間の目安として2週間ほどを考えておきましょう。掲載する内容にもよりますが、チラシを受け取った顧客が実際に商品やサービスの購入や利用を行うまでには、それらを検討する期間が発生します。配布直後の短い期間だけで検証してしまうと、チラシによって得られた本当の効果を見逃してしまう可能性があります。

なお、日にちが決まっているイベントの来場を促すチラシなど、効果が発生する期間が明確な場合は、それらを基準に検証期間を設定しましょう。

計算式はどのように立てるのか

チラシの配布数やエリアの広さは変動するため、単純に店舗の集客数や販売数をチラシの配布数と照らし合わせるだけでは、正確な効果測定はできません。

チラシの効果測定をする際は、配布によってどれほどの反応(購入や問い合わせなど)が得られたのかを表す「反響率(反応率)」を求めるのがおすすめです。チラシの反応率は、次のように計算します。

  • チラシの反響率(%)=チラシ反応数÷チラシ配布数×100

たとえば、チラシを5,000枚配布して商品が5個売れたのであれば、チラシの反応率は0.1%になります。

また、チラシの反響率に加えて、費用対効果(ROI)を考えることも重要です。ROI投資額に対しどれだけ利益を生んだのかを表す指標で、次の計算式で求めます。

  • ROI(%)=(成約数×顧客1人あたりの平均売上−チラシ料金)÷チラシ料金×100

30万円かけてチラシを作成・配布し、商品の売上が70個、顧客1人あたりの平均購入単価が5,000円であれば、ROIは16.6%になります。

ROIがプラスであれば「チラシの効果がある」マイナスであれば「チラシの効果が低い」と判定できます。ROIがマイナスの場合は費用が利益を上回っているので、デザインや配布方法を変えるか、チラシ以外の集客手法を検討する必要があるでしょう。

そのほか効果測定の取り方にはどんな方法があるのか

チラシの効果測定には、商品やサービス、チラシで紹介する内容などによって、他にもさまざまな方法があります。

口頭やアンケートで確認する

店舗を訪れた顧客や企業の商品を購入した顧客が、本当にチラシを見て行動したのかを把握するのは簡単ではありません。しかし、「自社の商品を何で知りましたか?」のように口頭でインタビューすれば、チラシがきっかけで興味を持ったことを把握できます。

また、アンケート調査をすれば、口頭よりも多くの顧客を対象にしてチラシの効果を調査できます。インタビューより調査漏れを抑えやすいだけでなく、年齢層や性別といった項目を盛り込むことでより幅広い調査ができるので、精度の高いマーケティングに活かせます。

クーポンや引換券を活用する

チラシには企業や店舗の情報を自由に掲載できるので、クーポンや引換券を付与すれば店舗に持参した顧客数から効果を測定できます。

たとえば、「チラシを持参した方は会計金額から〇%割引」「チラシと引き換えに粗品をプレゼント」といった手法が挙げられます。

また、「○○町と△△町でチラシの種類を変える」といった手法を取れば、エリアごとにチラシの効果を比較することも可能です。「○○町のほうがチラシの持参数が多かった」という結果が出れば、「○○町に住む消費者へのアプローチを強める」のような戦略でさらに集客数や売上を増やせるでしょう。

WEBサイトにアクセス解析ツールを導入する

チラシで集客するのは、実店舗だけではありません。通販サイトや自社ホームページのように、WEBサイトへの集客を目的とする企業もあるでしょう。

チラシからWEBサイトなどへ集客する場合は、URLを記載するだけでなくQRコードを掲載することで、アクセス数を増やしやすくなります。そして、その効果を測定するには「Googleアナリティクス」のようなアクセス解析ツールを導入するのがおすすめです。

Googleアナリティクスは、Googleが提供するアクセス解析ツールで、無料で利用できるのが特長です。WEBサイトなどへの訪問者数を計測できるだけでなく、顧客がどこからアクセスしたのかも計測できるので、チラシのQRコードからアクセスした顧客数や日時などを正確に把握できます。

チラシの種類ごとに異なるQRコードを添付すれば、どのチラシの効果が高いかを把握できるので、より集客や売上につながりやすいマーケティングにつなげられます。

まとめ

ここでは、チラシの種類や配布することで得られる効果、チラシの効果を高める方法や効果測定方法について説明しました。

ここで説明した内容を参考にして、企業や店舗の魅力が伝わるチラシを配布しましょう。

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