商品やサービスの販売促進活動にはさまざまな手段やツールがありますが、より消費者の興味を惹き購買意欲を刺激しやすい手法として、販促キャンペーンがあります。景品を用意して、商品の購入者やこれから顧客になる見込みのある人に応募してもらうことで、販売促進や認知を行う手法です。

しかし、実際に販促キャンペーンを行おうとしても、「どのように企画すればいいかわからない」と悩んでいる方や「そもそも販促キャンペーンが何の事かわからない」という方もいるかもしれません。

そこで当記事では、販促キャンペーンの概要から、販促キャンペーンで成功している企業の事例、またキャンペーンを考える際に抑えておきたいポイントなどについて解説していきます。

そもそも販促キャンペーンとは?

そもそも「販促」とは「販売促進」という言葉の略称で、消費者の購買意欲を刺激することによって商品やサービスを購入するように促す手法のことをいいます。販促キャンペーンとは、キャンペーンを利用して販売促進を行うことを指し、その手法はさまざまです。

特に、SNSが普及して以降の販促キャンペーンは、それまでとはまったく異なる方法やツールが活用されていたりと、時代の変化によって新しい手法も生まれています。

活用できるツールやアイデアの幅が広がった分、企業は過去に成功している事例を真似たり、これまでにないような斬新なアイデアなどを模索したりと、よりその企業のサービスや商品にあった方法を考えています。

今後も販促キャンペーンの在り方や手法は大きく変わる可能性もありますが、常に時代の流れや流行りに目を向けておくことで、いざキャンペーンを行うとなった際にも、そのタイミングで一番適切な手法を選ぶことができるでしょう。

販促をする3つの目的を知っておこう

企業の売上アップを目的とする販促ですが、この目的は以下の3つに分けられます。

販促をする3つの目的
  • 企業や商品などの認知度を高める
  • 顧客の購買行動を促す
  • リピート率を高める

目的を確認したうえで販促をおこなえば、一貫性を持ってターゲットに企業の情報をアピールできるため、効率的に売上アップにつなげられるでしょう。ここからは、販促キャンペーンをする目的について詳しく説明します。

企業や商品などの認知度を高める

1つ目の目的は、企業や商品などの認知度を高めること。

どれだけ魅力的な商品やサービスを開発しても、それらの情報を消費者に認知してもらえなければ、購買につなげることはできません。消費者への認知を促進するためには、いかにインパクトのある手法で情報伝達するかが重要です。

たとえば、SNS上で、専用のハッシュタグをつけて投稿したユーザーに抽選でプレゼントを贈呈するなどのキャンペーンを行えば、特典が欲しいと思って参加してくれたユーザーによって情報が拡散され、商品やブランドの認知に繋がります。拡散性や露出を多く見込めるプラットフォームであればあるほど、その効果もより期待できるでしょう。

顧客の購買行動を促す

2つ目の目的は、顧客の購買行動を促すこと。

企業が発信する情報を認知してもらえたとしても、最終的に購入につなげられなければ売上アップをさせることはできません。いかに消費者の購買意欲を刺激して、商品やサービスを購入してもらえるかが、販促の大きな目的だといえます。

具体的には、キャンペーンを実施して通常よりも割安で商品を購入できるようにしたり、一定金額以上の商品を購入したら特典のグッズやアイテムを受け取れるようにするといった方法が挙げられます。

リピート率を高める

3つ目の目的は、リピート率を高めること。

せっかく費用をかけて商品・サービスを使う人が増えてもリピート率が低ければ、新規顧客を呼び込むために大きなコストが発生するので、利益を継続的に出すことは難しいでしょう。リピート率を高めるための施策は、すでに商品・サービスを利用した経験がある人に対して再利用を促すだけなので、新規顧客を呼ぶよりもコストは少なくて済むケースが多いです。

たとえば、来店した顧客にクーポンを配布して、次回以降お得にショッピングできるようにしたり、ポイントカードを発行して一定のポイントが貯まったら特典と交換できる仕組みを設けるといった施策が有効です。「紹介キャンペーン」のように、リピート顧客が新規顧客を紹介したらそれぞれに特典を与えるといった販促をすれば、リピート顧客を保持しつつ新規顧客の獲得も期待できます。

販促キャンペーンの種類とは?

販促キャンペーンは大きく分けて「オープンキャンペーン」と「クローズドキャンペーン」の2種類があります。販売促進を行いたい商品やターゲットとする顧客などにあわせて適切な方法を選べるように、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

オープンキャンペーン

オープンキャンペーンとは、販売促進よりも商品やサービスの認知に重きをおいて行われるもので、誰でも参加しやすい応募条件に設定し、抽選を行って当選者に景品が贈呈される形式のキャンペーンです。

購入や契約を条件にせず、無料会員登録やSNSでの拡散、アンケートへの回答など、応募のハードルをできるだけ下げて、幅広い顧客への認知拡大を狙います。

クローズドキャンペーン

クローズドキャンペーンは、商品を購入して応募することができるタイプのキャンペーンです。例えば、購入毎に貯まるポイントを集めて応募できるものや、購入後にもらえるスクラッチですぐに当選がわかるもの、などが該当します。

購入が条件ともあって、オープンキャンペーンに比べると参加のハードルは上がりますが、キャンペーンの景品が魅力的であるほど、顧客に「応募したい」という気持ちになってもらうことができ、商品の販売促進につながります。

販促キャンペーンの成功事例を紹介


販促キャンペーンにはさまざまな形式や手法がありますが、実際に企業によって行われて成功している事例を知っておけば、自分でキャンペーンを行う際の参考になります。

ここでは、販促キャンペーンで成功している企業の事例を5つ紹介します。

商品購入数に応じた特典の設定

大手パンメーカーでは、商品を購入するごとにもらえるシールを必要数集め応募をすると、特典としてお皿がもらえるキャンペーンで、商品の販売数UPに成功しています。

顧客は一定数商品を購入しなければなりませんが、パンという日常的に消費しやすい商品であることや、ポイントが徐々にたまっていく楽しさなども相まって、たくさんの顧客を巻き込んで成功したキャンペーンといえるでしょう。

参考:販促キャンペーン施策のヒント集~どんなキャンペーンを行うか~

ハッシュタグを付けて投稿

江崎グリコ株式会社では、特定の日を自社商品のお菓子と関連付けて「ポッキー&プリッツの日」というキャッチコピーを作り、顧客にX(旧Twitter)でハッシュタグ付きの投稿をしてもらうことでギネス記録を目指すというキャンペーンを行いました。

ユーザーに楽しんで参加してもらうことができる企画だったこともあり、24時間で371万44件の投稿があり、ギネス記録も更新しています。その結果、ブランドに対する認知度や親しみやすさをアップさせることに繋がっています。

この事例では投稿に対しての特典はつけられていませんでしたが、ハッシュタグつきで投稿することで特典が当たるようにするなどの工夫をすれば、さらに効率的にSNS上での投稿を増やすこともできるでしょう。

参考:「ポッキー」世界記録更新!“ポッキー”を含んだツイートで、 11月11日(月)に371万44ツイートを記録|江崎グリコ株式会社のプレスリリース

SNSのフォロワー限定セール

株式会社良品計画では、X(旧Twitter)の無印良品のアカウントで自社アカウントのフォロワーを限定としてセールに招待するとともに、クーポンを配布しました。顧客を店舗に来店させるきっかけを作ったうえに、購買促進も行っているため、店舗の売上アップを実現しています。

顧客との接点が作れるSNSなどのオンラインツールを上手く活用して、実際に店舗に足を運ばせるオフラインの販売促進にも繋がっているよい事例です。

参考:「タイムセールなう」=無印良品がTwitterで大成功 | TechWave(テックウェーブ)
参考:販促キャンペーン施策のヒント集~どんなキャンペーンを行うか~

人気漫画とのコラボレーション

主に電気機器のメーカー事業を展開するマクセル株式会社では、キャンペーン実施当時に映画化を控えていた人気漫画とのコラボで販促キャンペーンを行いました。漫画を読んでいる人達を新規の顧客として取り込むことに成功し、商品出荷数を10倍に上げています。

キャンペーン専用サイトの作成や、店頭でのPOPやノベルティを活用して、コラボを幅広く訴求したことも、キャンペーンの効果を高めた一因といえるでしょう。

参考:マクセル株式会社様「キャラクタータイアップキャンペーン」 – 図書印刷株式会社

QRコードから参加するキャンペーン

日本コカ・コーラ株式会社と株式会社ユニクロのコラボキャンペーンも、販促キャンペーンの成功事例の1つです。対象商品のペットボトルのラベルに記載したQRコードから参加でき、リサイクルポリエステルで作成されたフリースがあたるというものです。

1度抽選にハズレてもSNSでシェアすれば再度参加できたり、飲料メーカーの自動販売機から応募する方法も採用していたりと、参加のしやすさも魅力の1つです。

参考:い・ろ・は・すさんはTwitterを使っています: 「🍀1/15までコラボキャンペーン実施中🍀 選ぶだけでエコになる #いろはすecoACTION ユニクロ エコなフリースなどが 抽選で10万名様にその場で当たりま・す! 選べる3色×5サイズ✨ ▼応募方法 1⃣ #いろはす ラベルのQRコードを読み込む 2⃣その場で抽選スタート! 詳しくは👇」 / Twitter

魅力的な販促キャンペーンを実施するポイント

実際に販促キャンペーンを行う際には、企業の成功事例を見てもわかる通り、顧客がキャンペーンに対して魅力を感じ、「自分も参加したい」と思ってもらえるように工夫する必要があります。

ここでは、販促キャンペーンをより魅力的にして成功に導くためのポイントについて、5つご紹介します。

魅力的なインセンティブを用意する

割引や特典、限定の非売品が当たるなど、まずは参加条件に関わらず顧客にとって魅力に映るものを特典にすることで、購買意欲を高めることが期待できます。

割引であれば、普段行っているセールよりもさらにお得な割引率に設定するとお得感を高められるでしょう。景品であれば、そのキャンペーンでしか手に入らない限定品や、日常的によく使うようなものにしておけば、「欲しい」という気持ちを搔き立てることができるかもしれません。

LINEの友達追加機能を活用するのもおすすめ

LINEの企業アカウントを用意しておけば、友だち追加をすることでポイントや特典を付与するキャンペーンも行うことができます。友達登録はスマートフォンとアプリさえあればその場で行えるため、レジや店頭などで案内してもすぐに参加しやすいこともメリットです。

キャンペーン期間を限定する

魅力的な割引や景品を用意したら、キャンペーンの実施期間をある程度限定しておくこともおすすめです。

「今だけ○○!」「セール最終日!」のようなキャッチコピーを上手く活用すれば、顧客に「この機会を逃すと損してしまうかもしれない」と思わせることができ、よりキャンペーン参加を促すことができるでしょう。

キャンペーンを恒例化してリピート利用してもらう

定期的に顧客とコミュニケーションを図り、特典を継続して提供していくのも効果的です。顧客にとっては何度も特典や割引を受けられる事がメリットとなり、ブランドに対する良い印象を与えることができます。そのうえ、顧客を囲い込むことができるため、長期的に売上を伸ばせるでしょう。

具体的には、「雨の日」や「5のつく日」など特定の日を対象として割引を行ったり、SNSのフォロワーを限定にしたキャンペーンを毎月行ったり、といった手法が考えられます。

サンプル品やモニタリングで顧客に体験してもらう

購入を条件とせず、事前にサンプル品を贈呈したり、モニタリングを採用したりして、先に景品配布を行うのもよいでしょう。実際に商品やサービスに触れてもらうことで、理解や興味を深めてもらうことができ、結果的に購買や成約につなげることができるでしょう。

何かしらの商品を購入した顧客に別の商品や関連商品をサンプルとして渡すといった方法も考えられます。

ジオターゲティングを活用する

ジオターゲティングとは、GPSなど位置情報サービスを活用した手法です。店舗の周辺を訪れた見込顧客にキャンペーンを宣伝することができます。店舗に近い顧客にアピールすることができるため、「気になるから行ってみようか」と顧客に思ってもらうことができれば、来店してもらいやすくなるでしょう。

飲食店で販促企画にお悩みの方はこちらの記事もおすすめです

飲食店の売上アップにつながる面白い企画とは?具体的な手順も紹介

まとめ

販促キャンペーンは、魅力的な特典を用意し、それを上手くアピールすることができれば、販売促進に大きく貢献することができる施策の1つです。また、キャンペーンの内容次第では、新しい客層に向けた商品やサービスの認知にも繋げられるでしょう。

より効果の高い販促キャンペーンを行うためにも、今回ご紹介した成功事例や企画時のポイントを参考にして、自分が提供する商品やサービスにあったキャンペーンの手法を模索していきましょう。

記事のURLとタイトルをコピーする