リスティング広告とは、そもそもどういう広告なのか、仕組みがどのようになっているか分からず「難しそう」というイメージを持つ方も多いでしょう。確かに、これまでリスティング広告を運用した経験のない方がいきなり成果を出すのは難しい部分があるかもしれません。しかし、仕組みを正しく理解することで全体像が把握でき、実践でもリスティング広告を活用できるようになります。

そこで当記事では、リスティング広告に携わる方向けに、仕組みやメリット・デメリット、どのような効果が得られるかなどについて詳しく解説します。

リスティング広告とは

リスティング広告とは「Google」「Yahoo!」などの検索エンジンにおいて、ユーザーの検索結果にあわせて表示されるインターネット広告のことです。検索連動型広告やPPCとも呼ばれ、広告をクリックされるたびに費用が生じます。

リスティング広告は、自社の商品やサービスなどに関連するキーワードと、広告を結びつけ、そのキーワードで検索したユーザーの検索結果に、テキストで広告を表示します。よって、商品やサービスの情報を探すユーザーに対して直接的に自社の広告を届けられるのです。

また、リスティング広告は検索結果ページのどの位置に表示させるかで、費用が大きく変化するので、広告主はキーワードや広告料金の調整をしながら運用しなければなりません。

リスティング広告が掲載される場所

リスティング広告は、検索結果を表示するページの上部と下部に掲載されます。一方で、検索エンジンの検索結果ではなく、閲覧ページ内に表示されるテキストや画像の広告はリスティング広告ではありません。

これは「ディスプレイ型広告」とよばれるものであり、同じWEB上の広告ではあるものの、効果や利用目的がそもそも異なります。
リスティング広告の表示形式

リスティング広告の表示形式

リスティング広告が掲載されるフォーマットは、下記の画像のように大きく分けて上から順に3つの要素から構成されています。

  • リンク先のURL
  • 広告の見出し
  • 説明文

リスティング広告の表示形式
広告見出しと説明文には、文字数や使用できる文字・記号に制限があります。加えて、広告文で訴求できない表現(例:「日本一」など)があります。そのため、事前にどのような基準があるかを調べておく必要があるでしょう。

リスティング広告の仕組み

リスティング広告は、広告主が設定したキーワードをユーザーが検索した時に表示される広告です。しかし、どのような仕組みで広告掲載が決まるかは、意外と知られていません。
ここでは「リスティング広告の運用費用」「リスティング広告を掲載するまでの流れ」の観点から、改めてリスティング広告の仕組みを理解していきましょう。

リスティング広告の運用費用

リスティング広告は、検索結果ページに表示しただけでは、掲載費用は発生しません。ユーザーが気になるキーワードを検索したときに表示された広告に関心や興味を抱き、クリックされた時にだけ掲載費用が生じます。

これを「クリック課金制(PPC)」と呼び、1クリックに対するクリック単価を、広告主側で自由に決められるのが特徴です。運用費用の相場は10万円前後~が一般的です。
ただし、狙うキーワードに競合がいる場合は、クリック単価を入札形式で競い、オークションの結果として、検索結果のどの位置に広告を表示できるかが決まります。表示順位は入札金額が競合よりも低いとその分下がり、加えて掲載されない可能性もあるので、広告を見られる機会が減ってしまいます。

一方、競合よりも入札金額が高ければ、広告が上位に表示されるのです。しかし、この時、クリックにかかる費用と得られる効果を正しく評価しなければ、クリックされるたびに損を被る可能性もあります。
よってリスティング広告の運用には、キーワード選びはもちろんのこと、広告費用と得られた成果の細かなチェックが欠かせません。

リスティング広告の運用費用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

リスティング広告の費用相場は?費用の仕組みから決め方まで解説!

リスティング広告掲載順位の決め方

リスティング広告での掲載順位は、Googleの場合は「広告ランク」、Yahoo!の場合は「オークションランク」によって決まります。これからのランクは前述のとおり「入札単価」はもちろんのこと、検索エンジン側が独自に評価し、広告の質をスコア化した「品質スコア」も大きく影響するのです。

この「品質スコア」は次のような要素に対して評価されます。

  • 推定クリック数
  • 広告の関連性
  • ランディングページの利便性など

品質スコアを基に広告ランクが決まり、そのランクが高いほど掲載の上位に表示されます。つまり、同品質の広告であれば、入札単価の高いほうが上位になりますが、広告ランクが高ければ、入札単価が低くても上位表示する可能性があるということです。

広告の品質を高めるためには、ユーザーのニーズにマッチした広告を制作することが重要になります。具体的にはユーザーが検索すると考えられるキーワードの選定や適切なWebサイト、時間帯に出稿できるかなどが挙げられます。

リスティング広告のメリット

リスティング広告のメリット
  • 関心の高いユーザーに宣伝できる
  • 少ない費用で始められる
  • 即効性が高い

商品やサービス購入、問い合わせなどを獲得しやすいリスティング広告には、多くのメリットが存在します。ここでは、3つのポイントに絞り、リスティング広告から得られるメリットの内容についてみていきましょう。

関心の高いユーザーに宣伝できる

検索ブラウザで検索されるキーワードは多くの場合、ユーザーのニーズをそのまま示しています。リスティング広告はそのニーズに対して直接的にアプローチできるため、成果に結びつきやすいのです。

たとえば、何らかの商品を安く購入したいと考えるユーザーの場合、「商品 最安」「商品 最安値」といったキーワードで検索する場合が多いでしょう。このようなキーワードで検索するユーザーは、「購入」の一歩手前にある可能性が高く、購入への意思が高いユーザーに直接アプローチできるのが、リスティング広告なのです。

少ない費用で始められる

リスティング広告の出稿金額に下限はなく、少ない費用からでもすぐに始められます。数百円単位からでも出稿でき、広告がクリックされなければ費用は発生しません。そのため、リスティング広告は特性上、広告コストを抑え誰でも取り組める点が大きな特徴といえます。

また曜日や地域、配信時間なども細かく設定できるため、より対象を限定した状態で効率的な費用配分が可能です。

即効性が高い

リスティング広告は広告配信後、すぐに成果を上げることも可能で、その即効性の高さが大きなメリットの1つです。一方、オーガニック検索を最適化するSEO対策では、効果が出るまでに最低でも数ヵ月はかかり、多くの手間もかかります。

さらにリスティング広告は、効果が見られなければいつでも配信停止が可能で、運用しながらのテキストやリンク先変更も可能です。

例えば、広告で出したい商品やサービスが、テレビなどで話題になっているタイミングですぐに広告配信したい、といったケースでもすぐに対応できます。オーガニック検索では上位表示が難しいキーワードでも成果を期待できるでしょう。

リスティング広告のデメリット

リスティング広告のデメリット
  • 認知拡大には適していない
  • 運用に手間がかかる

リスティング広告には、デメリットも存在します。メリットとデメリットをそれぞれ理解したうえで、導入するべきかを検討しなければなりません。ここではリスティング広告における2つのデメリットをみていきましょう。

認知拡大には適していない

リスティング広告は、購買に対するモチベーションが高い顕在層へのアプローチを強みとしている分、潜在層へのアプローチには向きません。また、そもそもインターネットを見ていない層にもアプローチできないため、認知拡大には適していない点はデメリットです。

自社が求める結果が認知拡大の場合には、リスティング以外の広告手法にも目を向ける必要があります。

運用に手間がかかる

リスティング広告は曜日や地域、配信時間などを細かく設定できる分、効果を高めるには、経過を見ながら分析を行い、その結果を基にした改善が必要です。一度出稿したら終わりではなく、市場の変化やトレンドの動向などに気を配り、改善を加える必要があり、運用に手間や時間を要する点はデメリットといえるでしょう。

メリットとデメリットを照らし合わせ、さらには運用知識が社内に乏しい場合などは、リスティング広告の運用を代理する会社に委託するのも選択肢の1つです。

リスティング広告とオーガニック検索(SEO)の違い

リスティング広告とオーガニック検索との違いは「操作性」です。オーガニック検索は、ユーザーが何らかのキーワードを検索した際に表示される「広告以外の検索結果」を指します。

オーガニック検索で表示されるサイトのリンクをクリックしても費用が発生しませんが、リスティング広告ではリンクをクリックすると費用が発生します。オーガニック検索は検索エンジンのアルゴリズム(課題を解決するための独自の方法や手順)によって順位付けされるため、直接的には操作できません。検索ユーザーにとって有益なコンテンツを用意するなど、間接的な操作が必要となり、多くの時間と労力を要します。

一方でリスティング広告は、費用をかければいつでも広告の配信ができ、途中での変更も容易です。早く成果を求めるなら、オーガーニック検索で上位表示させるための対策を行うよりも、リスティング広告のほうが向いているでしょう。

下記の表はリスティング広告とSEOの違いをまとめた表です。目的や求める効果によって使い分けましょう。

リスティング広告 SEO
掲載費用 必要 不要
上位表示のスピード
表示に時間がかからない

表示までに~時間がかかる場合がある
上位表示されるかどうか
予算をかけて、広告ランクが高いと上位表示される

上位表示されるとは限らない
上位表示の継続性 ×
予算をかけなくなると表示されなくなる

1度上位表示されると、一定期間は上位表示される
操作性
かける費用などで広告を直接操作することができる
×
直接的に操作はできない

リスティング広告とSEOの違いはこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。

リスティング広告とSEOの違いとは?使い分けのポイントを解説!

リスティング広告とその他WEB広告の違い

WEB広告はリスティング広告の他にもいくつかあります。下記の表はリスティング広告とディスプレイ広告、SNS広告の違いを比較したものです。

リスティング広告 デイスプレイ広告 SNS広告
ターゲット層 顕在顧客層 潜在顧客層
(商品やサービスの認知拡大)
潜在顧客層
(商品やサービスを認知してもらう)
掲載場所 検索エンジンの検索結果画面 Webサイトの広告枠 SNS上の配信画面
掲載内容 テキスト形式 テキスト+画像(動画) テキスト+画像(動画)
目的 商品やサービスを購入する見込みの高いユーザーにアプローチするため コンテンツにあわせた広告を表示させ、ユーザーの興味・関心を引くこと 特定のジャンルの商品やサービスをユーザーに認知してもらうこと

それぞれの広告に特徴があり、ディスプレイ広告の場合は、近いうち顧客になる見込みのあるユーザーに対して、テキストと画像または動画で購買を促します。SNS広告はまだ商品やサービスに気づいていないユーザーに対して、興味を持ってもらうことを目的とします。
それぞれの広告の特徴を活かして、自社の商品やサービスを購入や知ってもらうことも役立てましょう。

広告の種類に関してはこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。

広告の種類一覧|19種類の広告の特徴や期待できる効果などを解説

リスティング広告を掲載するまでの流れ

ここでは、リスティング広告の登録から掲載までの流れをみていきましょう。
流れは大きく分けて5つの工程で構成されます。

  • ビジネス用のアカウントを開設
  • アカウント設計
  • 入稿
  • 審査
  • 掲載開始

1.リスティング広告掲載用のアカウント開設と設計

リスティング広告を出稿するには、「アカウント」を開設し、広告出稿や予算の管理、広告費の支払いを行います。「Yahoo!広告」「Google広告」の両方を開設しても問題ありませんが、初めてリスティング広告に出稿する方は、まずはいずれかに絞ったほうがスムーズです。

次にリスティング広告のアカウント設計を考えます。リスティング広告の設計図を作る工程となるアカウント設計で失敗すると、配信後にいくら調整をしても、期待する成果につながらない可能性があります。設計する内容は「狙うユーザー」「自社の強み」「広告文」「対象キーワード」などです。また、リスティング広告による「問い合わせ数」や「購入数」など、結果に対する目標も立てておくことで、広告配信後の調整時に役立つでしょう。

リスティング広告を成功させるためにも、自社の商品やサービスを誰に伝えたいのかを考えながら、アカウント設計をすることが大切です。

2.各広告媒体へ入稿

アカウント構成が完成したら、実際に各媒体へ入稿しましょう。入稿においても、Yahoo!とGoogleでは入稿方法が異なるため、注意が必要です。
また入稿作業に慣れてくれば、「エディター」とよばれる、リスティング広告専用の一括編集ツールを使用すると手間を省くことができます。
上手く活用できれば、管理面での効率化が期待できるので、活用していただくのがおすすめです。

3.広告審査・広告掲載開始

入稿後に広告が掲載されるかどうかは「審査」次第です。広告審査では、掲載媒体ごとに設ける規約に違反がないか、その内容が広告として掲載してよいかが判断されます。
審査日数は、おおよそYahoo!で3営業日、Googleは1営業日です。自社のキャンペーンにあわせてリスティング広告を行う場合などは、この審査期間を念頭に置いてスケジューリングする必要があります。

参考:広告の審査プロセスについて – Google 広告 ヘルプ

広告審査に無事通れば、いよいよ掲載開始です。最後に「キャンペーン」「広告グループ」「広告」「キーワード」の配信設定を管理画面上でオンにすれば配信開始されます。
もし、審査に落ちてしまった場合は、各掲載媒体の窓口へ問い合わせを行い、対処法を確認してみましょう。

リスティング広告に向いている企業の特徴

リスティング広告に向いている企業の特徴は、「検索するユーザーが多く、粗利額が大きい」商品やサービスを扱っていることです。具体的な例は下記のものが挙げられます。

  • 客単価が高く、粗利が高いもの(例:不動産や住宅のリフォーム、自動車販売など)
  • 継続的な購入が見込めるもの(例:化粧品、健康食品、育毛剤など)
  • 市場拡大がしていて新規見込み客が多い業界(例:アニメ商品で海外での需要が高まっているなど)
  • 緊急性が高いサービス(例:水道トラブル、修理、特殊清掃など)

上記の商品やサービスを扱っている企業は、リスティング広告を導入することで、さらに売上アップができる可能性もあります。しかし、競合企業がリスティング広告を導入している場合もあるため、事前に調査を行い、自社で導入するか検討しましょう。

まとめ

リスティング広告は低予算かつ即効性が大きな特徴です。ただし、運用者の経験やスキルによっては効果に大きな差が生まれる場合もあります。

リスティング広告のメリットとデメリットをそれぞれ正確に把握し、状況に応じて適切な運用方法を決めていく必要があるでしょう。今回ご紹介したリスティング広告の概要や仕組み、掲載までの流れなどを参考に、運用の成果に少しでもつながれば幸いです。

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