飲食店の運営において重要なのが予約管理や顧客情報の管理です。予約管理をデータ化した予約管理システムを導入すれば、電話や手書き台帳のようなアナログ方式の管理で起こり得るミスや漏れの軽減に繋げられるでしょう。

今回は、飲食店におすすめの予約管理システムについて機能や選び方を紹介します。

予約管理システムとは?

予約管理システムとは、電話やメール、外部予約サイトなど複数から寄せられる飲食店予約をデータ化して一括管理をするシステムのことです。

紙などによるアナログでの管理体制を取っている飲食店もありますが、予約の数が多かったり複雑な内容だったりすると、それだけ対応するスタッフや時間が必要になり、非効率な業務の進め方になっている可能性があります。そこで、予約管理システムを導入しデジタルで管理することで、業務の効率化やミスの防止を強化することができるでしょう。

システムによっては顧客情報の管理も可能なため、顧客の好みやニーズといったデータを蓄積・分析して新メニューの開発に活かすなど、予約管理以外でもさまざまな用途に活用できます。

予約管理システムのメリット

予約管理システムのメリット
  • 予約受付・管理が楽になる
  • 予約の機会損失や急なキャンセルを防げる
  • 顧客情報の収集・管理・集客に役立つ
  • 予約データの分析が楽にできる

費用や準備を必要とする予約管理システムを飲食店に導入する際は、まずどのようなメリットが存在するのか事前に把握しておくことが大切です。ここでは、飲食店の予約管理システムを導入するメリットを紹介します。

予約受付・管理が楽になる

予約管理システムを導入するまでは、飲食店の予約は電話やメール、外部の予約サイトなど複数から寄せられ、それを手書きの台帳に記入して管理するなどの方法になるでしょう。そのため、従業員の誰かが電話やメールを受けなければならず、確認する際も手書きの台帳のページをめくって調べるといった手間や人的なリソースが発生してしまいます。

予約管理システムを導入することで、台帳に予約内容を書き写すという手間がなくなり、従業員の業務負担の軽減にも繋がるため、予約受付や管理業務の時間短縮、また人件費削減も期待できます。

予約の機会損失や急なキャンセルを防げる

電話で予約を受ける場合では、従業員が取り込み中の業務で手を離せず対応できなかったり、メールの場合は休業日を挟んだために確認が遅れたりして、せっかくの予約を逃してしまうといったケースも考えられます。

予約管理システムであれば、営業時間外やピークタイムで従業員が対応できない場合でも24時間365日いつでも予約対応が可能なため、見込み客の予約を逃すことなく獲得することで、予約の増加が見込めます。

また、予約管理システムの中には、クレジットカードでの顧客事前登録や事前支払い機能などが備わっているものもあり、急な大量キャンセルといった損失を軽減することにもつながります。

顧客情報の収集・管理・集客に役立つ

予約管理システムには、予約情報を管理するだけでなく、予約情報で得られた顧客情報をデータ化する機能がついたものもあります。顧客の電話番号などのデータだけでなく、来店履歴や注文内容、好みなどを把握することができるため、蓄積されたデータをもとにメニュー開発や集客などさまざまな用途に活用できます。

予約データの分析が楽にできる

予約管理システムを導入することで、予約データをもとにしたあらゆる分析を行うこともできます。売上の集計はもちろんのこと、来店の日時や頻度、店の回転率などさまざまな角度からの分析を蓄積されたデータから行えるため、売上向上や顧客満足度の向上など飲食店におけるさまざまな課題の改善に応用することが可能です。

予約管理システムの機能

予約管理だけでなく飲食店の様々な業務に活用できる予約管理システムですが、具体的な機能はどのようなものがあり、どこまで有効的に活用できるのでしょうか。ここでは予約管理システムの機能について詳しく紹介していきます。

予約管理

予約管理システムの主たる機能は当然ながら予約の管理です。電話やメール、外部予約サイトなどさまざまな経路から届いた顧客からの予約を、日時ごとやテーブルごとなどに分類して登録できます。

サービスによっては、予約日時や時間帯を照会して自動的に空席へ予約を割り当てる機能もあり、テーブル数や一度の来店客数が多い店舗でも効率的に管理ができるでしょう。

リアルタイムで予約枠の空き状況等を視覚的に確認できる点は、紙などのアナログでの管理と比較しても効率的と言えるでしょう。

顧客管理

顧客管理の機能は、予約済の顧客や既存客の来店履歴や注文内容、支払い金額などの蓄積データからさまざまな分析を行える機能です。

顧客の氏名や電話番号などといった基本情報以外にも、利用したデータに基づいて顧客の好みやアレルギーの有無、ニーズなどの補足データも管理できるため、しばらく来店のなかった顧客の情報でもすぐに確認し、次の予約時に役立てることができます。

また、それらの蓄積されたデータを分析することで、新メニュー開発や人気商品の把握などにも活用でき、経営戦略に役立てることも可能です。

他のサービスとの連携機能

予約管理システムは、外部のグルメサイトからの予約を自動的に連携させたり、自店で使用している会計ソフトやPOSレジと連携させたりするなど、外部サービスとの連携も可能です。

会計ソフトやPOSレジと連携させることで決済や売上管理の手間が軽減されるだけでなく、マーケティングに関するさまざまな分析に用いることもできます。

決済機能

予約管理システムの中には、オンラインでクレジットカード決済ができる機能がついており、顧客事前登録や事前支払いに対応しているものもあります。先述の通り、無断でのキャンセルが発生するリスクを減らせることが見込めるうえに、仮にキャンセルされたとしても損失を回避することができ、思わぬトラブルへの対応という点でも、予約管理システムが有効でしょう。

予約管理システムを選ぶポイント

予約管理システムを選ぶポイント
  • 飲食店に適しているものを選ぶ
  • 費用と効果が合っているものを選ぶ
  • サポート体制の整っているものを選ぶ

予約管理システムを選ぶうえで、どのようなポイントに注目すればよいのでしょうか。ここでは、自店にあった予約管理システムを選ぶ際のポイントを紹介します。

飲食店に適しているものを選ぶ

予約管理システムは、飲食店に限らず、美容室やホテル、病院などさまざまな業界で活用されています。そのため、それぞれの業界に特化した予約管理システムを選ばないと、不必要な機能がついてコストが余分にかかったり、使えない機能ばかりで役に立たなかったりといった事態にもなり得ます。

事前支払い機能や空席管理機能など、飲食店で活用しやすい機能を見定め、そのシステムが実際にどのような業界で導入されているのか、飲食店での導入実績はどのくらいかという情報もあわせて調べてみるとよいでしょう。

費用と効果が合っているものを選ぶ

予約管理システムは無料のものと有料のものとがあります。費用をかけたくないからといって内容をよく調べないまま無料のものや料金プランの低価格帯のものを選んでしまうと、利用できる機能が制限されていて、必要な機能を使えずむしろ無駄になってしまったということも起こる可能性があります。

反対に、理由もなく沢山の機能が備わっているからと高額なシステムを導入したばかりに、実際の業務では必要のない機能ばかりだったということも考えられます。

どのサービスが向いているか、また同じサービスの中でもどのプランが適しているのか、プランの内容や機能の詳細を把握したうえで選択するとよいでしょう。

サポート体制の整っているものを選ぶ

これまで電話やメール、手書きの台帳などアナログな方法で予約管理を行っていたという場合、一気にシステム化をしてしまうと、システムの難易度や従業員の習熟度によってスムーズに活用できないということが考えられます。そのため、操作しながら問題が生じたときにすぐに質問ができるお客様サポートのあるサービスがあると、急なトラブルの早期解決につながるでしょう。

お客様サポートは、無料や低価格のプランのサービスの場合は付帯していない場合もあるため、初めて予約管理システムを導入する場合には、多少費用がかかっても、サポート体制の整ったサービスを選ぶことも視野に入れておきましょう。

おすすめの予約管理システム

ここまで予約管理システムの特徴を紹介しましたが、実際の予約管理システムにはどのようなものがあるのでしょうか。最後に、おすすめの予約管理システムを各種ご紹介します。

利用条件によっては無料の予約管理システム

まずは、利用する条件によっては無料で使える予約管理システムを3つ紹介します。

Restaurant BOARD(レストランボード)

Restaurant BOARDは、株式会社リクルートが提供している予約管理システムです。テーブル管理、予約台帳、顧客台帳の3つの基本機能は0円で利用することができます。iPadさえあればアプリをダウンロードしてアカウント登録することで使用開始することが可能です。

また、株式会社リクルートではPOSレジアプリや受付・順番待ちアプリなどの関連サービスも提供しており、Restaurant BOARDとの連携もできます。

(2022年5月時点)

参考:レストラン・飲食店の予約台帳/予約管理システム【レストランボード】

ヨヤクノート

ヨヤクノートは、グルメサイトの食べログを運営している株式会社カカクコムが提供している予約管理システムです。こちらもiPadにダウンロードして使用するアプリで、予約台帳と顧客台帳、グルメサイトネット予約連携の機能がついています。

ヨヤクノートは、1店舗につき月額10,000円(税別)のところ、食べログ店舗会員登録(無料)をすれば初年度0円、会員登録しなくても1カ月無料で試すことができます。

(2022年5月時点)

参考:ヨヤクノート|無料ではじめる予約台帳アプリ

TableCare(テーブルケア)

TableCareは手持ちのアンドロイド版タブレットにインストールして使用するアプリです。オフライン版であれば、電話予約の配席管理と顧客台帳管理が無料、手持ちのタブレットか専用のタブレットを使用するオンライン版ならユーザーへのリアルタイム配信やオンライン予約管理、データバックアップなどの機能も利用できて初期費用49,800円〜、月額9,800円〜です。

リアルタイム配信ができるため、飲食店のハッピーアワーイベントや新着のお酒の紹介など、即時に顧客へ伝えたい情報を届けることが可能です。

(2022年5月時点)

参考:TableCare | 加盟店様

有料の予約管理システム

次に、有料で利用できる予約管理システムを3つ紹介します。

TORETA(トレタ)

TORETAは株式会社トレタが提供する飲食店向け予約・顧客台帳サービスにおいて業界シェアNo.1のiPad専用アプリです(2016年株式会社シードプランニング調べ)。また、継続率については99%を誇ります(2019年1月時点)。

TORETAは外部の複数のグルメサイトやITサービスとの連携が可能で、予約情報が自動的に反映されていきます。さらに手数料無料で専用のWEB予約ページを作成できます。

(2022年5月時点)

参考:トレタ | 【シェアNo.1】お店の予約を、まるごとタブレット1台で。

ebica(エビカ)

ebicaは株式会社エビソルが提供している予約管理システムです。こちらはiPadだけでなくパソコンでの利用も可能です。

ebicaはグルメサイト経由の予約を自動で一元管理するグルメサイトコントローラーの機能により、ダブルブッキングなく最大限に予約をとることができます。さらに電話予約受付や管理のAIによる自動化にも対応しており、従業員が不在の時にも電話予約を受電することが可能なため、業務負担軽減にもつながります。

(2022年5月時点)

参考:【公式】ebica|レストラン・飲食店向け予約管理システム

ぐるなび台帳

ぐるなび台帳は、株式会社ぐるなびが提供している予約管理システムで、ぐるなびをはじめ他社のグルメサイトに寄せられた予約情報をシステム内の予約台帳に自動的に反映してくれる機能がついています。ぐるなび台帳の場合はiPadだけでなくその他スマートフォンにも対応しているため、店内の他にも外出先などでも予約管理が可能です。

株式会社ぐるなびのシステムということから、普段からぐるなびを中心に予約を得ている飲食店にとっては使いやすく、それ以外の飲食店にとっても幅広く活用できる予約管理システムです。

(2022年5月時点)

参考:飲食店向け台帳システム「ぐるなび台帳」【ぐるなびPRO】

まとめ

今回は、飲食店におすすめの予約管理システムについて、主な機能や特徴、おすすめの予約管理システムサービスについて紹介しました。

これまで電話や手書き台帳などのアナログで進めてきた予約管理をデータ化して一元管理できるのが予約管理システムです。システム導入によって業務負担の軽減や予約キャンセルのリスク回避など、飲食店の課題解決に大きく活用できるでしょう。

サービスは利用したい機能によって、無料で始められるものから有料のものまでさまざまです。今回ご紹介した選び方のポイントなども参考に、自店に適した予約管理システムを見つけて、業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。

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