カフェの経営において、効果的な販促は認知度向上やリピーター獲得といった集客を大きく左右する重要な要素です。今回は、カフェでの販促にはどのようなメリットがあり、具体的にどのような方法があるのかを厳選して紹介します。顧客が再来店したくなるような効率的で効果的な販促活動で、集客アップを図りましょう。

販促活動とは

「販促」とは文字通り「商品・サービスの販売を促進させるための活動」を指しますが、具体的な目的として下記のような3種類があります。ここでは、目的別の3種類の方法を紹介します。

1.認知度を向上させるためのやり方

カフェにおける商品・サービスの認知度を向上させるには、新規顧客を獲得して商品・サービスを知ってもらうということが重要となります。そのためには、店内であれば目立つ場所にPOPなどの掲示物を多く配置する方法や、広告やイベントを通じて店舗以外でアピールするという方法があります。

2.購入や消費を促すためのやり方

商品・サービスの認知度向上の次は顧客を購入へと促す活動が必要です。例えば店舗に商品のポスターを掲示することで購買意欲を促し、街頭でクーポンの配布を行うことで店舗での購入までのルートを構築したり、サンプルを配布して購入へのハードルを低くしたりする方法があります。

3.リピートをしてもらうためのやり方

商品・サービスを購入・利用した顧客に対しては、顧客が商品・サービスのファンとなり、リピーターになってもらうまでが目標となります。そのためには独自のポイント制度やクーポン配布を行って再来店へと促すきっかけづくりが必要です。次の項目では、販促活動のなかでリピーターを増やすことに対するメリットを紹介します。

リピーターを増やすメリット

カフェにおける販促活動のなかでリピーターを増やすことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

マーケティング戦略において耳にする言葉に「パレートの法則」というものがあります。これはイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した統計についての法則で、全体的な数値の構成は一部の要素が生み出している、という理論です。具体的には、さまざまな事象の80%は20%の要因から成り立っており、販促にあてはめると「売上の8割は、2割の客によって作られる」ということになります。そのため、顧客全体のなかの2割のリピーターの傾向だけに注力し、年齢、性別、注文したメニューや訪れる時間帯などを把握してそのデータを活用することで、8割の売上に結びつく見込みにつながるとされています。

また、このほかのリピーターを増やすメリットとしては、新規顧客獲得の場合には認知度向上や購買意欲向上などさまざまな費用がかかるのに対し、リピーターの場合はそれらの費用がかからない分、客単価アップにもつながるということも考えられます。

カフェでできる販促方法

この項目では、カフェでできる販促方法について紹介します。顧客がくつろいで過ごせるような時間と空間を提供できる店であるという信頼感も重要ですが、来店することで顧客が得をできるという明確さもポイントになります。

カフェでできる販促方法
  1. 来店客へクーポン・チラシの配布
  2. ポイントカードの発行
  3. アプリやホームページの導入
  4. コンセプトに合わせた店舗装飾
  5. イベントを行う
  6. SNSを使う

①来店客へクーポン・チラシの配布

来店客が「次も訪れたい」と考えるには、メニューや店舗への満足度もポイントとなりますが、さらに再来店を後押しする目的としてはクーポン・チラシの配布が有効です。来店客がいつ次に訪れるか明確ではないとしても、クーポン・チラシによって情報をインプットさせておくことで、カフェを利用する必要性が生じたときに「そういえば、あのお店のクーポンがあったな」と記憶を呼び起こすことができます。

また、新規出店やキャンペーンを行う際には、カフェの近隣住民に対してチラシをポスティングすることで、認知度をさらにアップさせることにもつながるでしょう。

②ポイントカードの発行

ポイントカードは、来店のたびにポイントが増えていくことでポイントの数に応じて特典をつけたり割引をしたりするお店独自の制度です。ポイントが少しずつ増えていけば「どんどんポイントを増やしてお得にカフェを利用したい」という来店意欲につながることが期待できます。

ポイントカードは、顧客が普段よく使う財布やスマホケースに入るような大きさにすることで目に留まりやすくなります。また最近では紙ではなくスマホアプリでポイントカードを運用する店舗もあり、スマホアプリの場合は財布への入れ忘れを防ぐという顧客にとってのメリットがあります。

③アプリやホームページの導入

カフェなどの店舗向けに開発されたモバイルオーダーシステムやポイントカードシステムといったスマホアプリを導入することで、商品オーダーからポイント発行までをスマホひとつで完結させ、顧客がスムーズに商品を購入することができます。

また、店舗独自のホームページがある場合には、それらのスマホアプリからホームページへ誘導することができたり、キャンペーン情報やおすすめメニューなどの店舗情報を発信したりすることが可能です。ホームページを新たに導入する際には、SEO対策という検索エンジンで上位に表示される対策を図ることで、カフェで検索をした顧客からのクリック率向上も期待できます。

④コンセプトに合わせた店舗装飾

自店のカフェの装飾についても再確認が重要です。店舗の装飾は、自店のコンセプトとマッチしているか確認してみましょう。コンセプトとは思想や方向性を指すものであり、それにあわせた店舗装飾にすることで、コンセプトに共感した顧客に対して「また訪れてみよう」という意識づけにつながることも見込めます。

また、コンセプトと店舗装飾をマッチさせることで、店舗運営においてもブレが生じにくいというメリットもあります。

⑤イベントを行う

目新しさを狙うには、季節ごとにあわせてイベントを行うというのもポイントです。顧客に対して「このイベントがあるから来店してみよう」と来店意欲を持たせることが目的なので、イベントの規模を大きくしたり、開催頻度を多くしたりする必要はありません。認知度アップを目指すのであれば、「1組限定で注文無料」など大胆なアイデアも検討してみましょう。

⑥SNSを使う

X(旧Twitter)やInstagram、FacebookといったSNSの活用もぜひ取り入れたい販促のひとつです。リアルタイムで不特定多数のさまざまな人の目に留まるSNSは、新メニューやタイムサービスなどの情報発信だけでなく、リピーターが「おすすめのカフェはここ!」とひとこと入れるだけで、新規顧客獲得につながることが期待できます。X(旧Twitter)などで公式SNSを公開すれば、顧客などの外部からの情報提供だけでなく、メニューや店内の画像やスタッフの紹介などのようなお店独自の情報発信も可能です。

店舗販促を行う際に意識すること

カフェにおける店舗販促を成功させるには、意識しておかなければならないことがいくつかあります。最後に、店舗販促を行う際に意識すべきことを紹介します。

ターゲットを絞る

より多くの顧客を得たいからといって、ターゲットの設定をあいまいにしていたのでは、何が店舗のコンセプトで、何を売りにしているのかということもうまく伝わらず、得られるはずの顧客も逃してしまいます。ターゲットを絞って店舗販促を行うことで、店舗内装の雰囲気を定めやすくなり、SNSでの発信の際にも、どのSNSを使えばより効率的に情報発信ができるかというターゲット設定も明確になります。

ターゲット層の設定に迷った場合には、新規顧客ではなく、現在のリピーターがどのような客層であるかをリストアップしてみることで、絞るべきターゲット層を具体化できるでしょう。

販促にかける費用の確認

マーケティングの世界で耳にする法則に、「新規顧客を獲得するコストは、リピーターに対するコストの5倍かかる」というものがあります。これは、新規顧客を獲得する際には広告宣伝費や認知度・購買意欲向上のための費用などさまざまな費用と時間がかかるからだとされています。一方で、リピーターに対しては、すでに一度購入実績があるために認知度アップのための費用はかからず、再来店や再購入を促すためのアプローチだけが主になるため、新規顧客ほどのコストはかかりません。

リピーターに対して販促をかける場合には、売上額の3%ほどを目安にするとよいとされています。さらに、リピーターの購入回数や来店回数が増えるほどかかる費用は低くなります。これらを踏まえて、リピーターへの販促にはどのくらいの費用を目安にしたらよいのか検討してみるとよいでしょう。

参考:新規獲得にかかるコストは既存の5倍?営業戦略としてのリテンション施策の重要性 | 100年企業戦略オンライン

まとめ

今回は、カフェにおける販促活動について、具体的な方法を6つ紹介しました。

販促には、認知度向上と購買促進、リピーターを増やすための3種類の目的にあった方法があります。なかでもリピーターを増やすことは新規顧客獲得よりもコストがかからないことから、リピーターの獲得に注力するほうが、客単価もあがることが期待できます。

カフェでできる販促活動には、「クーポン・チラシの配布」「ポイントカードの発行」「アプリやホームページの導入」「コンセプトにあった店舗装飾」「イベントの実施」「SNSの活用」の6種類があります。いずれも、顧客に対して「また訪れたい」と思わせることが目的なので、自店で運用しやすい方法からはじめてみるとよいでしょう。

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