SNSなどで気軽に多くの情報を得られるようになり、消費者の商品・サービスに対するニーズや求める価値は年々細かくなっています。競合他社がひしめく中で、消費者の目を自店に向けるためにはより効果的な販売促進の活動が求められます。それには商品・サービスの認知度を上げるだけでなく、リピートを促すための戦略も必要でしょう。

今回は、効果的な販売促進にはどのような手段が考えられるか、オンライン・オフラインなど状況に応じた方法を紹介します。

販促(販売促進)とは

販売促進(以下、販促)とは、商品・サービスの認知度を高めたり、購入や利用を促したりする活動を目的としています。

インターネットの利用が一般的となった現在において、企業において販促活動は欠かすことのできない要素の一つです。SNSなどの普及により消費者が商品・サービスの情報を得るのが容易となり、世の中にあふれる商品・サービスの中からでも消費者自身で選択することが可能となったからです。

SNSなどの口コミを見ただけで消費者は商品・サービスの良し悪しを判断できてしまうため、ただ販売するだけでは消費者の行動を促すことは難しく、その商品・サービスの良さやメリットをうまく訴求する手段が必要です。

販促の目的

販促には、「認知度向上」「購入・消費」「再購入・再来店といったリピート率向上」という大きく3つの目的に対する手法が考えられます。それぞれの具体的な販促方法を説明していきます。自店にあった活用方法はどれか、それぞれ見比べながら検討してみるとよいでしょう。

認知度を向上させるための販促方法6種類

新規に開店した店舗や、新たに開発した商品・サービスなどは、消費者にその存在を認知してもらうことから始まります。できるだけ幅広く認知度を向上させて、さらに購入や利用へと誘導するには、広告への出稿が有効です。広告には、インターネットを活用したオンライン広告と、紙媒体や店舗周りへの掲示といったオフライン広告があります。

オンラインでの販促方法

オンライン広告とは、インターネットを活用した広告のことを指します。認知度向上のためのオンライン広告には、主に以下のような手段が挙げられます。

ホームページを作成し情報を更新する

自店独自のホームページを作成し、自店をアピールする方法です。自店のホームページであれば掲載内容に制限はないので、自店の所在地や紹介だけでなく、新商品や新サービスの案内やスタッフブログを毎日掲載するなど幅広い活用方法が考えられます。

消費者が、ある商品・サービスの存在を知ってWeb検索を行った際に詳しい情報が得られなければ、その場で消費者は購入自体を諦めてしまいます。自店のホームページがあることで詳しい情報を得られるだけでなく、自店の存在を知ることで消費者からの信用度向上にもつながるでしょう。

SNSを活用して幅広くアプローチ

幅広い年代が活用するSNSは、多くの企業や組織が販促に活用しており、販促において高い効果を得られる手法の一つです。

SNSの種類によって、ユーザーの年齢層や男女比が異なり、ユーザーの居住地域や趣味・関心などから具体的なターゲット設定もできるので、商品・サービスの特性にあわせた販促展開を考えることができます。

例えば、「X(旧Twitter)」のキャンペーンを活用した販促を行う場合、対象アカウントをフォローし、対象ツイートをリツイートした人の中から抽選で商品が当たるというものがあります。このキャンペーンのメリットはユーザーは参加のハードルが低く、企業はリツイートによって情報が拡散され、多くの人に自社の商品やサービスを知ってもらいやすいことです。

インターネット広告でピンポイントに訴求

インターネット広告とは、さまざまなWebサイトやスマートフォンアプリに掲載する広告のことです。検索エンジンの検索結果に表示する「リスティング広告」や、Webサイト上の広告欄に画像や動画のバナーを載せる「ディスプレイ広告(バナー広告)」、動画サイトで動画再生の間に挿入する「動画広告」などさまざまな種類があります。

インターネット広告は、年齢・性別・居住地域など細かくターゲット設定をすることができるため、ピンポイントでの訴求が可能です。インターネット広告のサービスによっては、効果測定やユーザーのクリック回数の分析など詳しくデータ化できるものもあるので、戦略的な広告展開を行うには有効といえるでしょう。

オフラインでの販促方法

オフライン広告は、チラシや新聞などの紙媒体や店舗前の旗などがあり、特定の地域に絞って販促を行いたい場合に効果を発揮する手段です。

限定した地域にチラシを配布する

チラシ配布の手法には、新聞折込やポスティング、街頭での配布といったものが挙げられます。アピールしたい地域がすでに絞られている場合にふさわしい手法といえます。自店の商品・サービスのターゲットに直接伝わるようなデザインやコピーを掲載し、その商品・サービスを購入することでどのようなメリットが得られるのかを細かくアピールするとよいでしょう。また、チラシ持参での特典やクーポンをつけることで効果測定にもつながるため、費用対効果を検証しながら改善を図っていくこともできます。

旗や看板を設置し商品やサービスをアピール

新店舗オープンや新たなサービスの訴求において、店頭に旗や看板を設置することは非常に重要な手法です。店頭に設置するため幅広い告知は難しいものの、どのようなお店であるのか、どのような商品・サービスを扱っているのかを消費者の目の前で訴求することができます。

通りすがりの人の目に留まることで、その場では利用しなくても記憶に残り、「そういえばあそこにお店があったな」と次回の利用につながったり、口コミでお店の存在が伝わったりする見込みも持てます。

新聞や雑誌の広告

年代別ではシニア層や高所得者層の購読が多い新聞や雑誌への広告出稿は、自店の商品・サービスのターゲット層と合致すれば有効な手法です。2021年に総務省が発表した、各メディアに対する信頼に関する調査によると、新聞に対しては61.2%が信頼できると回答し、様々なメディアの中でも新聞が最も高く信頼されていることがわかります。そのため、新聞に広告を出すこと自体でも信頼性を獲得できる期待も持てます。また、毎日発行される新聞や発行日が決まっている雑誌は、出稿するタイミングを絞り込むことができるのも特徴のひとつです。

参考:総務省|令和3年版 情報通信白書|メディアに対する信頼

購入や消費を促すための販促方法4種類

自店の認知度が高まってきたら、次に商品・サービスの購入や消費を促すための販促が必要です。消費者の目の前で直接訴求できるものや、限定感や希少感を与えられる手法が有効であると考えられます。

直接サンプルを配布する

街頭などで商品のサンプルを直接手渡す方法は、商品の購入をまだ迷っているという見込み客に対して購入を決断させるのに有効な手法です。実際に商品を試す機会があることで、見込み客は商品の良さや特徴を知ることができます。サンプルとしては一般的に化粧品や食品が配布されます。商品そのものを使用してもらうため、商品の特徴を正しく知ってもらえるというメリットがあります。商品のパッケージに近いサンプルを配布することで、見込み客以外にも商品名やロゴなどの認知度アップにつながるでしょう。見込み客以外にも、商品のパッケージに近いサンプルを配布することで、商品名やロゴなどの認知度アップにもつながるでしょう。

特典を付与するプレミアム手法

プレミアム手法とは、消費者による商品・サービスの購入や入会といった行動に対して、なんらかの特典を提供するという手法です。「ご購入の方には○○をプレゼント!」のように購入という行動にお得感を与えることで、購入意欲のハードルが下がる期待が持てます。

ただし、特典欲しさに購入してリピートには続かない可能性もあるため、先々の戦略を練る必要もあります。

消費者に直接アピールする実演販売

スーパーマーケットやイベントなどで見られる実演販売は、商品・サービスの良さや使い方などを消費者の目の前でアピールする手法です。

売る側としては、直接的な訴求によりスピード感を持って消費者への理解を促すことができます。消費者側にとっても、商品・サービスの特徴や使い方を目の前で知ることができるので、良さが伝わればその場で購入できることがメリットです。

ただし、実演販売の場所選びを的確にしなければ、商品・サービスのターゲットと合致しないことにもつながるので充分な検討が必要でしょう。

コラボレーション企画

今では衣食住さまざまな販促で主流の手法になりつつあるのが、人気キャラクターや他社ブランドのコラボレーションによる販促手法です。

既存客からさらにターゲットを広げて新規顧客を獲得し、ブランドイメージを認知させるのに効果を発揮します。行動や関心が似通ったターゲット層であれば、異業種であっても相乗効果を得られやすいのがコラボレーション企画の特徴でもあります。

リピートしてもらうための販促方法4種類

商品・サービスの認知度向上と購入まで促すことができても、リピートしてもらえなければ顧客獲得とはいえません。顧客が離れずに繰り返し購入してもらうためにはどのような手法があるのでしょうか。

ポイント制度を導入する

購入ごとにポイントがもらえ、そのポイント数に応じて特典がもらえるという制度は、消費者を自店に定着させるのには効果的な手法です。ポイントをもらうことを目的として再来店への意識が高まります。

一方で、ポイント会員登録時に必要な個人情報や、ポイントカードを提示する手間を嫌がる消費者も存在します。登録時のハードルを下げるために、入会金無料やポイントカード作成するとクーポンがもらえるなどの特典を用意する工夫が必要でしょう。

定期的にメルマガを送信する

新商品やおすすめのサービスなどのお得な情報を顧客に定期的に配信することで、顧客との接点を保つことができるため、メルマガ配信は非常に有効です。

また、開封率を測定することで、どのような内容のメルマガで反響があるかを知ることができ、改善を繰り返すことでより効果的なアプローチが可能となります。その場合、商品・サービスの説明だけでなく、メルマガ会員だけの特典をつけるなどの限定感をプラスすることで開封率アップにつながることが見込めます。

クーポンを配布する

商品・サービスを一度購入したことがある顧客には、優待券や期間限定の割引券などを配布することで、さらなる購買意欲へとつながることが期待できます。

クーポンには、自店に直接来店する場合には次回来店時に使える割引チケットを渡したり、メールやSNSなどを用いて配布したりする方法があります。一つの方法に限定せず、ターゲットにあわせて効果を見ながら改善していくとよいでしょう。

定期購入サービスを行う

化粧品や健康食品のネット販売で多く見られるのが定期購入サービスの手法です。商品を使い終わるタイミングにあわせた数カ月に一度などに定期購入することで、単品での購入よりも安価で購入できるとお得感をアピールし、継続的な購入を促します。

ただし、定期購入の顧客を獲得したら目的達成とするのではなく、定期購入者だけの特典を付与するなど顧客を逃さない工夫をしたり、定期購入する方が損をしないのだということを充分に顧客に伝えたりする工夫が必要でしょう。

販促を成功させるには顧客理解が重要

自店の商品・サービスの販促に、他社の成功事例をそのまま真似しただけでは成功することは不可能です。自店の特徴や商品・サービスのターゲットを把握し、どの手法で販促を行えば高い効果を得られるのか、充分な検討が必要でしょう。

顧客は販促が充分でなければ、よりよい商品・サービスを求めて離れていってしまいます。新規顧客獲得だけに目を向けるのではなく、既存顧客のニーズにもあわせて、自店と顧客双方にメリットがあるような販促手法に取り組んでいきましょう。

まとめ

今回は、商品・サービスの購入や利用につなげるために効果的な販促方法を紹介しました。インターネットの活用により目利きが鋭くなった消費者を、競合に負けずに獲得するためには、販促戦略を細かに練ることが重要です。

商品・サービスの認知度を高めたい場合には、年代・性別などさまざまなターゲット設定が可能なオンライン広告が向いています。また、特定の地域性をもった商品・サービスであればオフラインを活用すれば、予算を抑えた販促活動が可能です。

さらに、獲得した顧客をリピート顧客につなげるためには、顧客のニーズを把握しながらさまざまなサービスや情報の提供を行うことが重要となります。新規獲得だけでなく顧客離れを防ぐためにも、顧客のニーズに寄り添った細かな販促戦略を徹底していきましょう。

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