自店舗の売上を最大限に伸ばすには、リピーターの獲得が重要になります。しかし、顧客に自店舗を気に入ってもらい、再来店までつなげるというのは実際には難しい場合があるのも事実です。また、リピーターの数を増やしていくとなると、より細かい分析や対策が必要となるでしょう。

そこで今回は、店舗運営や店舗の売上拡大においてリピーターが重要な存在であることの理由や、リピーターが再利用を決める理由、リピーターを獲得するための4つの方法について紹介します。

リピーターとは

リピーターとは、自店舗で扱う商品を複数回購入したり、サービスを継続的に利用してくれたりする顧客のことを指します。単発の顧客とは異なり、リピーターは自店舗の売上を持続的に伸ばしてくれる役割を果たすので、自店舗にとって大きな存在であり、リピーター獲得は店舗運営に欠かせない要素となります。

また、店舗を気に入ってくれている顧客が多いということは、売上拡大に限らずレビュ―サイトでの評価や、SNSや周囲の人物への宣伝・拡散に繋がることも期待できます。

リピーターを増やすべき理由

リピーター獲得が店舗運営のためにも重要とされるのにはどのような理由があるのでしょうか。先述した顧客からの評価やSNSなどでの拡散も重要ですが、ここでは、より店舗運営に直結する売上やコストなどへの影響について解説します。

LTV増加のため

LTVとは、「Life Time Value」の頭文字をとったもので、日本語では「顧客生涯価値」といいます。具体的には、顧客が取引開始から終了までの間、つまり初めて店舗を利用してから利用しなくなるまでの間に、自店舗に対してどのくらい利益を産んでくれたかという収益を表すための指標です。

新規顧客の獲得やリピーターに育てるための施策を行うためには、時間やお金などコストがかかります。無駄にリソースを割くのは避けたいところですが、店舗の運営や成長のためにはある程度必要なコストであることも事実です。LTVの考え方を用いれば、それらにかかった時間とコストを長期的にみて適切であるか判断できます。

リピーターが増えて1人あたりLTVの平均値を増加させることができれば、新規顧客獲得やリピーターに育てるための施策にどれだけコストをかけられるか、逆算して考えることもできるでしょう。

客単価向上のため

顧客がリピーターとして自店舗を利用するのには、商品・サービスのよさや魅力をわかっているからということもあります。そのため、単発的なキャンペーンやセールがなくても新規顧客より多く来店し、定期的な購入により購入単価があがることが期待できます。

また売上は客数と客単価の掛けあわせのため、リピーター増加によって客単価があがるほど、売上向上も見込めることになります。

集客コストを削減するため

新規顧客を獲得する場合、自店舗や商品・サービスについて認知していない「潜在顧客」と、商品・サービスに対して関心はあるものの購買にまでは至らない「見込み顧客」に対してアプローチを図る必要があります。

それらの潜在顧客と見込み顧客を新規顧客として獲得するまでには、リピーター獲得の5倍のコストがかかるとされています。つまり、新規顧客ではなくリピーターから売上を得るようにすれば、その5倍かかるコストを抑えることができることになります。

さらに、リピーターの口コミが潜在顧客や見込み顧客の購買促進につながることも見込めるため、リピーターの存在によって集客コストの削減につながるのです。

リピーターになる理由

新規顧客が自店舗の商品・サービスを購入後、リピーターとして再来店、再購入に至るのには、どのような理由があるのでしょうか。ここでは主として2つの理由を紹介します。

リピーターになる理由
  • 他店より行く価値がある
  • 店舗や企業と接触する回数が多い

他店より行く価値がある

新規顧客が複数店舗の選択肢のなかから自店舗を選んで再来店につながったとすれば、他店よりも訪れる魅力や価値が自店舗にあったということになります。商品・サービスに対する価値だけでなく、店内の雰囲気やスタッフの対応が心地よかったというような「もう一度訪れたい」という気持ちにさせる体験価値があったことも考えられるでしょう。

また、店舗自体の価値のみならず、立地や営業時間といった点が影響している場合もあります。とはいえ「近いから」「夜遅くまで空いているから」といった理由でも、それは自店舗の強みの1つであり、顧客が感じているメリットの1つでもあるため、他店と比較したときの価値として捉えることができるでしょう。

店舗や企業と接触する回数が多い

マーケティングにおいて活用される効果のひとつに「ザイオンス効果」というものがあります。これは、もともと興味・関心のなかった事柄であっても、何度も繰り返して接触することでだんだんと好印象を抱き、関心度が高まっていくという心理傾向のことで、「単純接触効果」ともいいます。

つまり、実店舗やECサイト、または企業と接触する回数が多いほど顧客の評価が高まり、距離が縮まる効果が見込めるということになります。

リピーターにならない理由

新規顧客として自店舗の商品・サービスを購入したにもかかわらず、リピーターへと至らなかったのには、どのような理由があるのでしょうか。主に2つの理由を紹介します。

リピーターにならない理由
  • 店舗や企業が印象に残らない
  • 製品やサービスの質が悪い

店舗や企業が印象に残らない

商品・サービスの質は決して悪くないにもかかわらず、リピーターにならなかったという場合は、店舗や企業に対して印象に残るものがなかった、ということが考えられます。印象に残らないということは、そのまま忘れ去られてしまうこともありうるため、心に響くような接客や次回利用できるクーポンを提供するなどで、再来店をしたくなるようなアプローチを図るとよいでしょう。

ただし、印象に残らないというのは印象が悪いということではないため、今後の改善によってリピーターになってもらえることも期待できます。

製品やサービスの質が悪い

再来店がのぞめない理由として、顧客が店舗の製品やサービスの質に満足していないことも考えられるでしょう。製品やサービスの質の良し悪しを最終的に判断するのは顧客であるため、顧客が納得いかなければ再来店はのぞめません。

商品だけでなく、接客の質や店舗の清潔さなども含めて一度見直してみましょう。

リピーターを増やすには

自店舗の売上に大きく左右するとされるリピーターを増やしていくには、どのようなポイントに注意すればよいでのしょうか。最後に、リピーターを増やす方法として4つのポイントを紹介します。

特別感を演出しお店の存在を忘れないようにさせる

顧客にとって、初来店時の出来事が印象に残らなければ、再来店に結びつくことは難しくなります。また、すでにリピーターであったとしても、複数回来店していることに対するなんらかの恩恵が受けられないと思えば、離れてしまうことも考えられるでしょう。

顧客に対し、来店したことや購入したことへの特別感を演出し、お店の存在を忘れさせないような働きかけを行いましょう。購入者だけが使えるクーポンやチラシを配布し、リピーターを大事にしているお店であるとアピールするだけでも、再来店の可能性が見込めます。

誕生月に限定のサービスを行ったり、初来店から1年目にクーポン付のハガキを送るなどといった施策もあります。

販促ツールを使う

ポイントカードや割引特典がついたチラシなどの販促ツールを活用することも、リピーターを増やすことに役立ちます。ポイントカードは紙だけではなく、アプリを使うことで印刷コストがかからないというメリットもあります。また、SNSを活用して、フォローした顧客に対して割引特典をつけるなど、特別感を与えることも有効です。

リピーターの声を聞く

商品・サービスを購入した顧客やリピーターから寄せられた要望は、ただ受け取るだけにせず、解決を図ることで顧客側は「要望を聞いてくれた」と感じ、リピーター増につながることも期待できます。

顧客の中には、要望や改善してもらいたいことがあっても伝えないまま離れてしまうという人もいるため、SNSやカスタマーサービスのように要望やクレームを気軽に伝えやすい環境やシステムを構築しておくことも重要です。

サービスを充実させる

どんなに商品が良質であっても、サービス内容や店内の雰囲気や対応が不充分であれば、顧客は再来店したいという思いにはならないでしょう。仮に再来店したとしても、継続的に利用する中でサービスが不十分だと感じる点が積み重なってしまうと、結果的にはいずれ離脱してしまう可能性があります。

店内の清潔感やスタッフ対応といったサービス面についても、隅々まで配慮を怠らないような心がけが必要です。来店してくれたことへの感謝が伝わるようなサービスや接客を行い、好印象に残る体制づくりを再検討してみるとよいでしょう。

まとめ

リピーターは、客単価の向上だけでなく新規顧客にかかる集客コストの削減など、売上拡大のためには欠かせない存在です。自店舗に対して、他店では味わえないようななんらかの魅力やよさを感じたからこそリピーターとして再来店しているため、再来店や再購入に対する特別感を提供してあげることを徹底して行いましょう。

まずは自店舗の顧客がどこに魅力を感じてリピートしてくれているのかを見極め、販促ツールの利用やサービス改善など多方面からのアプローチで、より多くのリピーター獲得を目指してみてはいかがでしょうか。

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