店舗にうまく人を集められれば、それだけ提供している商品やサービスに興味を持ってもらい、購入につなげやすくなります。しかし、店舗によっては「さまざまな施策を試したけれども人が集まらない」と悩むところもあるかもしれません。

そこで今回は、店舗の集客を成功させるために事前に計画すべき内容や具体的な手法を紹介するとともに、集客ができない主な原因についても説明します。

店舗に人を集めるために計画すべき内容とは?

具体的な集客施策を考える前に、まずは計画を練る必要があります。計画段階で明確にしておくべき内容として、次の4つが挙げられます。

まずは集めたいターゲットを明確にする

人を集める計画を立案する場合、まずは集めたいターゲットを明確にすることから始めます。自社商品やサービスに興味を持ってくれそうな年齢層や性別、職業などをもとに、ターゲットの設定を行いましょう。

ターゲットが明確になっていると、それに合う集客方法を選定できるようになります。例えば若い女性がターゲットであれば、InstagramなどのSNSを活用した情報発信の方法が選択肢として挙げられるでしょう。万人受けする集客方法ではかえって人を集められなくなる可能性があるので、ターゲットにあわせて適切なアプローチができるようにしておきましょう。

PDCAサイクルに沿って計画を進める

PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(改善)の頭文字を取ったものです。

店舗の集客においても、PDCAサイクルを高速で回し、計画通りに人を集めることができているのか、計画とずれがあるならば、その要因は何なのかをこまめに確認して改善することが大切です。

集客は、一度実施したからといって必ずしもうまくいくとは限りません。PDCAサイクルを回して施策を改善すれば、限られた予算や人員の中でも効率的に集客ができるようになるでしょう。

目標とする来客数を多めに設定する

集客方法を計画する際は、結果を評価しやすいように目標とする来客数を設定します。そのとき目標値を20%程度割増しして設定しておくのがおすすめです。

たとえば、目標とする来客数が100人の場合、実際に設定する目標値を120人程度に設定します。それによって、目標値に近づいたときに安心して力が抜けるリスクを抑えることができます。

ただし、あまりにも無理な目標を設定してしまうと、かえってモチベーションが下がってしまうので注意が必要です。あくまで達成可能な目標の範囲内で数値を決めるようにしましょう。

継続率を意識して計画する

初回の集客に成功したとしても、一度きりしか利用してくれなければ、売上を安定させることはできません。一時的に集客力を高める方法はたくさんありますが、集まった顧客を維持するのは意外と難しいものです。

顧客に店舗を継続利用してもらう手法の具体例として、魅力的なイベントの開催やポイントカードの発行などがあります。顧客に「また行ってみたい」と思ってもらえるような施策を考えることで、継続的な店舗利用につなげられるでしょう。

効果的に人を集める方法とは?

集客の計画を立案したら、次は実際に人を集める方法を考えていきます。効果的に人を集める方法として、次の4つが挙げられます。

これらの手法ごとにどのような特徴があるかを知っておけば、店舗にあった集客方法を選びやすくなります。以下では、集客方法ごとの特徴について詳しく説明します。

SNSを活用する

SNSは無料で利用できることから、費用をかけずに店舗の情報を発信できるという魅力があります。また、個人から個人へと幅広く情報が拡散されるという特徴があるため、これまでアプローチできていなかった層にも情報を届けることが可能です。

SNSにはFacebookやInstagram、X(旧Twitter)など、さまざまな種類がありますが、家族や友人を結び付けやすいものや画像に特化したもの、短い文章を気軽に発信できるものなど、それぞれで特徴は異なります。利用しているユーザー層もサービスによって違うので、ターゲットが利用している見込みの高いSNSを選ぶのがポイントです。

SNSの代表的な活用法として、「ハッシュタグを付けた投稿」があります。最近若い世代の間では「タグる」と言う言葉が流行っており、SNS上でハッシュタグを使い情報を検索する人が増えています。

たとえば、ラーメン屋であれば、Instagramを利用して「#ラーメン」をつけて投稿するといった方法が挙げられます。これによって、ラーメンに関するハッシュタグで投稿の検索を行う人にターゲットを絞って情報を届けられます。さらに、「#〇〇市」といったエリアを限定するハッシュタグをつければ、店舗周辺エリアでラーメン店を探している人をうまく集められるようになるでしょう。

参考:「ググる」よりSNSを「タグる」、若者の新しい情報収集法

折込チラシを活用する

折り込みチラシは、新聞と一緒に各世帯へ配布するチラシのことをいいます。エリアを指定して幅広い家庭に配布できるので、地域に密着した事業を展開している店舗であるほど、活用するメリットは大きいでしょう。

また、新聞は比較的年齢が高い世代が購読しているという特徴があるため、ターゲットの年齢層が高めの場合にもマッチしている集客手法といえます。

ただし、配布エリアを広く設定するほど費用が高くなってしまうので注意しましょう。チラシにクーポンを添付して反応率を計算するなど、成果に応じて配布数やエリアを再設定することが大切です。

たとえば、高齢者向けのマンションギャラリーに集客したい場合、「〇〇町に折り込みチラシを配布する」といった方法が考えられます。「来場者には粗品プレゼント」といった特典を盛り込めば、より多くのターゲットを集客できるでしょう。

ダイレクトメールを送る

一度来客した人などのリストがあるのであれば、ダイレクトメールも有効です。ダイレクトメールは、特定の顧客に対して郵送でパンフレットなどの文書を送付する手法です。顧客へ確実に情報を届けられるため、目に触れず流れてしまうリスクを抑えられます。チラシよりも高い反応率も期待できるので、より多く人を集められるでしょう。

ただし、ダイレクトメールは封入作業や宛名の印刷といった作成の手間がかかったり、郵送コストがかかったりするのがデメリットです。たとえ顧客の手元に届いたとしても、開封されずに捨てられる可能性もあるため、デザインや形状を工夫するなど、顧客が読みたくなるダイレクトメールに仕上げることが大切です。

ユーチューブで店舗の概要について情報発信する

以前は、動画での情報発信はテレビCMが主流だったので、ある程度の広告費用を支払わなければ消費者にアピールできませんでした。しかしユーチューブは、アカウントを作成すれば無料で店舗の情報を配信することができます。

スマホアプリで動画編集やアップロードをすることもできるので、専門的な知識がなくても消費者にインパクトを与える動画をつくることができます。動画を制作する際には、店名・所在地・営業時間・おすすめ商品などの情報は入れるようにしましょう。

また、ユーチューブでは、店舗の動画をアップロードするだけでなく、ほかのユーザーの動画内にバナーや動画広告を表示させたりすることもできます。広告費はかかりますが、設定したターゲットに対して店舗の動画を幅広く発信できるので、活用するメリットは大きいでしょう。

人が集まらない原因も知っておこう

ここまでは、人を集める具体的な方法を紹介しました。人を集める方法を考えることは大切ですが、それと同時になぜ人が集まらないのかという原因を知っておくことも大切です。人が集まらない原因として、次の3つが挙げられます。

集客に必要な人脈が不足しているから

店舗が集客数を増やすためには、ある程度の人脈が必要になります。たとえば、店舗でイベントを開催する場合、友人を誘ったり知人を連れてきてもらったりすることで、集客数を増やしやすくなります。

また従業員からも知り合いに声をかけてもらうように依頼すれば、より多くの人を集められるでしょう。

しかし、人脈が不足していると、声をかけられる人や集客を依頼できる従業員が足りず、思ったように人を集められなくなってしまいます。限られた人員で人を集められないのであれば、商品やサービスの質を高めたり、イベントの魅力を高めたりすることが大切です。

足を運ぶメリットが感じられないから

どれだけ魅力的な商品やサービスを開発したとしても、消費者に魅力が伝わらなければ人を集めることはできません。イベントを開催して注目を集めようと思っても、参加するメリットを感じてもらえなければ、参加者数を増やすのは難しくなります。

消費者に「店舗に行ってみたい」と思ってもらうためには、いかに消費者目線で商品やサービス、イベントをつくり上げるかが大切です。

また、事業運営者が商品やサービスの概要についてよく理解していたとしても、広告宣伝の担当者とうまく情報共有できていなければ、消費者の心に響くアピールができなくなってしまいます。初回の来店だけでなく、継続的な店舗利用を促すためにも、広告宣伝の担当者だけでなく、営業担当者や販売スタッフにも商品やサービスの魅力を詳しく理解してもらうことが重要です。

情報をうまく発信できていないから

前述したように、人を集めるための方法にはさまざまな種類があります。しかし、情報発信をしたにも関わらず期待する反応が得られない場合は、その方法が消費者にとって適していない可能性があります。

集客につながる情報発信をするためには、反応率をチェックしながら、適宜手法を変更・最適化することが大切です。ブログやSNSなどの運用をしている場合は、どのようなテーマ・執筆スタイルであれば消費者の心に響くかを考えて情報を掲載しましょう。また、単に情報発信の量が不足していることも考えられるので、DMやチラシの配布数を増やしたり、メディアなどの媒体への露出を増やしたりするのもおすすめです。

まとめ

ここでは、人を集める際の計画方法や具体的な手法、人が集まらない原因について説明しました。

集客にはさまざまな方法があるため、費用や手間、期待できる効果を総合的に考えて手法を選択することが大切です。また、複数回実施することで徐々に成果が出てくるものもあるため、実施した施策をこまめに改善できる仕組みも整えておきましょう。

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