ユポ紙とは? 基本情報と活用事例を紹介

ユポ紙とは? 基本情報と活用事例を紹介

ユポ紙は、耐水性や耐久性、筆記性などに優れた合成紙です。ポイントカードやポスターなど、身近なところで幅広く使用されています。

この記事ではユポ紙の特徴と印刷時の仕上がりや注意点、ユポ紙の活用事例について紹介します。

ユポ紙は、紙とフィルムの良さを備えた合成紙※1です。ユポという名称は、ユポ紙の販売会社「ユポ・コーポレーション」が商標登録した商品名になります。

ユポ紙の厚みは、0.045mm〜0.5mmと種類があります。主原料として合成樹脂のポリプロピレンが使われているため、リサイクルが可能です。燃やしても有害物質が出ないため、環境に優しい用紙です。

※1:石油からできる合成樹脂を主原料とした紙

ユポ紙はベースとなる基層の表裏をラミネート加工し、3層構造にした合成紙です。基層部分で紙の強度を確保し、表層に別の材料をつけ、ラミネート加工することで白色度を高め、印刷・筆記適性がでるようになっています。

この3層構造によりユポ紙は、紙より水・油・薬品に強く、破れにくい性質を持ちます。さらに、フィルムより筆記適性があり、きれいに印刷できます。オフセット印刷など通常と同じ印刷方法の印刷にも利用できますが、熱に弱く乾燥が遅いなどの特徴もあります。

価格は印刷に良く使われる上質紙やコート・アート紙などと比べても高いです。A4サイズ10枚入りで900円〜1,200円程度で購入できます。

ユポ紙はインクジェットプリンターを使った印刷が可能です。インクジェットプリンターの機種に対応した専用のユポ紙も準備されています。

一方レーザープリンターでは、ユポ紙は利用できません。ユポ紙には合成樹脂が使われているため熱に弱く、レーザープリンターのように高温になるプリンターで使用すると変形し、プリンターにユポ紙が詰まるなどのトラブルが起きる可能性があります。オフィスやコンビニエンスストアのコピー機も使用できないケースがあるため、事前に使用確認をしてください。

ただし、一部の低温タイプのレーザープリンターであればユポ紙の印刷ができることがあります。取扱説明書などをよく確認の上、使用してください。

ユポ紙はフィルムに近い特性を持ち乾燥しにくいため、印刷するには基本的にユポ紙に対応した特殊インクが必要です。ただし、スーパーユポダブルやスーパーユポなどの一部のユポ紙は、通常の紙用のインクでも印刷できます。

ユポ紙への印刷では、一般的な紙への印刷と同じような色合いを出すことができます。ユポ紙の表面は白く滑らかかつ背後の色を透過させにくいためです。美術印刷といった高精細印刷にも対応できます。

しかし、ユポ紙は合成樹脂で作られており、紙と比較するとインクが吸収しにくく、乾きにくいという特徴があります。そのため、コート紙と比較すると印刷時のドットゲイン(網点の太り)が上昇し粗く見えることがあります。

また、明るい領域と暗い領域の中間の領域の色合いである中間調の色を印刷すると、色味が濃く印刷されることがあるため注意が必要です。

さらにユポ紙の種類によっても印刷後の表面の光沢感などに違いがあります。印刷物の用途に合わせてユポ紙の種類を選択しましょう。

ユポ紙の種類と仕上がりの特徴

ユポ紙の種類 仕上がりの特徴
標準品(FGS) 光沢感がやや低い。マット調の仕上がりになる
ウルトラユポ(FGB[G]) セミグロス調の表面。高級感がある仕上がりになる
ユポハイグロス(GAR) 高光沢性を持つためツヤツヤとした仕上がりになる

ユポ紙は水に濡れる機会の多い、ポスターやメニューなどの印刷物に使われることが多いです。

選挙で使われる投票用紙に、ユポ紙が使用されています。ユポ紙の特徴である、折り曲げても元に戻しやすい復元性を利用して、選挙時の開票作業を効率化しています。
また、鉛筆やボールペンでさらさらと書きやすく、燃やしても有毒ガスが出ない点なども使用される理由です。リサイクルも可能なので、選挙の投票表紙に使われたユポ紙はうちわの骨組みなどに再利用することもあります。

水に濡れても破れにくく、濡れてもふやけないユポ紙の特性を活かして、お風呂で読める絵本に活用されます。また、裏面を濡らすと浴室の壁に貼ることができるため、お風呂の知育ポスターやキャラクターポスターなどにも使われます。

ただし、高温多湿の環境でユポ紙を使用し続けるとカビの発生や壁材の変色につながることがあります。長期にわたり使用する場合は定期的にポスターを張り替えるなどが必要です。

雨や風にさらされる屋外に飾る選挙ポスターや広報掲示物などにも、綺麗に印刷ができて耐水性と耐久性を合わせ持つユポ紙が活用されています。また、軽量でかさばらない特性を活かして、飲食店などのショップのタペストリーにも利用されます。

コンビニエンスストアなどの冷蔵ケースなどに貼られている商品説明のPOPにもユポ紙が使用されています。ユポ紙の特性として、冷凍や冷蔵など、−40℃程度まで耐えられるためです。また、ユポ紙は薄くても耐久性があるため、ポイントカードや会員カードなどにも用いられます。

ステンシルとは、シートなどを好みのデザインの図柄に切り抜き、転写したいアイテムにシートを当てて上から塗料を塗って図柄を写すことです。耐水性や破れにくさ、ペンの滑りが良い特性を活かして、ステンシル用のカッティングシートにもユポ紙が使われています。

紙の上にアルコールインクとアルコール液を垂らし、にじみを活かしてさまざまな模様を描く「アルコールインクアート」の用紙として、ユポ紙を使用することがあります。
ユポ紙には耐水性があり、アルコール液やアルコールインクが紙の上で流れるように描く事が可能になるためです。