スエード生地とは?

スエード

スエード生地は、小物や雑貨、洋服などに広く用いられる素材です。タペストリーや旗の生地としても使われています。
スエードという名前の由来は、スウェーデンのガーント・ドゥ・スウェードという技法で作られた手袋からきており、フランスで流行したことでスウェーデンに関連付けスエードと呼ばれるようになりました。
スエード生地には種類があり、用途やデザイン等に合わせて柔軟に選択できます。

スエード生地の種類を大きく分けると、動物の皮が原料のものと、ポリエステルなどの合成繊維で作られたものの2つがあります。

動物の皮が原料となるスエードは、ヤギや子牛の皮の裏側に摩擦を加えて毛羽立たせ、なめしたものです。皮の内側を起毛させているので、柔らかな手触りで、独特の光沢感やあたたかみがあります。靴や衣類などに使用されており、革製品よりも丈夫です。スエード生地はお手入れにクリームなどは必要なく、ブラッシングや専用のスプレーを使います。

ポリエステルなどの合成繊維で作られたスエード(ポリエステルスエード)は、見た目や肌触りなどを動物の皮が原料となるスエードに似せて作られたものです。合成繊維に施した特殊加工により、生地の片面や両面が起毛しています。洗濯などのお手入れがしやすいため、洋服や小物、タペストリー、旗の生地などに幅広く使用されています。

タペストリーや旗で使用されるスエードは、主にポリエステルなどの合成繊維が原料です。スエードのほか、遮光スエードやダブルスエードといった種類があります。

テトロンポンジを使った一般的なタペストリーや旗に使われるテトロポンジと比較すると、スエードや遮光スエード、ダブルスエードの価格が高くなります。印刷会社によって取り扱っている生地や価格は大きく異なりますが、ポンジでは安い物では1000円以下のものから、スエードは4,000円前後から10,000円を超えるものまでピンキリです。

なお、タペストリーの場合は設置器具とセットで販売されているパターンも多く、旗の制作とは異なる工程もあるため、同じ生地とサイズ感でも旗より価格は高くなる傾向にあります。

スエード生地の種類について詳しく見ていきましょう。

スエードは、なめらかな質感で肌触りが良い生地です。表面に光沢があるため、高級感を演出できます。生地に厚みがあり耐久性があるため、長期間の繰り返しの使用も可能です。また、発色が良いため、写真やイラストなどのカラー印刷にも適しています。

遮光スエードは、スエード生地2枚の間に遮光材を挟んだ生地です。スエードよりも厚みがあるためコシがあり、耐久性にも優れています。生地質はスエードと同様になめらかで肌触りがよく、光沢による高級感があります。遮光スエードは両面印刷が可能なので、表と裏で違う柄を印刷することも可能です。

ダブルスエードは、スエードの2倍ほどの厚みがある丈夫な生地です。透けにくく、生地の裏側にある物体や壁面の絵柄などが表面のデザインに影響を与えることがほぼないため、タペストリーによく使われます。

また、ダブルスエードは、アニメやアイドルの人物像を描いた作品など、色味やデザインにこだわりたいときに適した生地です。例えば、遮光スエードの場合は、遮光剤に使用された黒色の糸が生地表面の色味に影響するため、肌色などの白系の色が灰色に見えることがあります。その点、ダブルスエードは遮光剤の影響で色味が変わることがないため、白系の色も忠実に再現できます。

スエード生地の一般的なお手入れ方法を紹介します。商品に洗濯表示がある場合は、表記に従ってお手入れをしましょう。

ポリエステル100%で作られたスエード生地は、基本的に水洗いできます。生地のほつれなど、傷みをなるべく防ぎやすくしたい場合は、手洗いが良いでしょう。強めに洗ったり固く絞ったりすると色落ちや型崩れ、シワなどの原因となるため、水を張った桶などを使って優しく押し洗いをしてください。

洗濯機を使用できる商品の場合は、洗濯ネットに入れて洗濯機の手洗いコースで洗ってください。なお、色落ちの可能性があるため、ほかの洗濯物と混ぜずに個別で洗いましょう。

洗剤は、洗浄力が高い弱アルカリ性のものを使用可能ですが、素材や装飾の有無などによっては中性洗剤やおしゃれ着用洗剤を選ぶ必要があります。洗濯表示に従い、洗剤を使用してください。また、色落ちを防ぐため、漂白剤や漂白剤入りの洗剤は使用を控えましょう。

洗濯後は、風通しの良い場所で陰干しをしましょう。濡れたまま放置すると、カビやシワの原因となります。なお、高温になると色落ちや色移りなどの原因になるため、乾燥機の使用は避けてください。

アイロンは、低温設定で当て布をしてあててください。高温のアイロンは生地の縮みや色落ち、他のものへの色移りの原因となる可能性があるため、控えましょう。なお、アイロンを同じ位置に長く当てすぎると蓄熱して色落ちしやすくなるため、アイロンはこまめに動かしながら素早く当ててください。