相撲のぼり旗の基礎知識と購入方法

相撲のぼり旗の基礎知識と購入方法

相撲のぼり旗は、旗に力士や行司、部屋、スポンサーの名前などを色鮮やかに描いたのぼり旗です。興行のぼりとも呼ばれています。のぼり旗は、専門の染業者職人によりひとつずつ手作りされ、全国で行われる大相撲会場に立てられます。

日本相撲協会が主催する巡業で相撲のぼり旗を立てるには、日本相撲協会の許可が必要です。なお、子どもを応援するための相撲のぼり旗など個人的に使うものや、自宅などのプライベートスペースに立てるものは、とくに許可は必要ないです。

相撲で立てられるのぼり旗は、江戸時代に行われた勧進相撲の頃から立てる習慣がありました。勧進相撲とは、寺社の本堂や橋、山門などを建てたり直したりする際に要する費用を捻出するために開催した相撲です。歓進相撲は戦国時代から開催され、江戸幕府成立後も京都、大阪、江戸を中心に全国各地で行われていました。

現代でも相撲のぼり旗は、巡業先の会場周辺などに、大相撲の宣伝や会場の雰囲気を盛り上げる目的で立てられます。

相撲のぼり旗は縁起物のため、大相撲一場所ごとに新しいものを作ります。なお、使用済みの相撲のぼり旗は、暖簾やはんてんにリメイクされることもあります。

相撲のぼり旗のサイズは、高さが5.4m、幅は70cm〜90cmほどです。店頭などで一般的に使用されるのぼり旗のサイズ(高さ1.8m)と比較すると、3倍の高さです。相撲のぼり旗は竹棒とよばれる竹で作られたポールを使って立てられます。

なお、相撲のぼり旗の高さは設置する場所の状況に合わせ臨機応変に調整します。たとえば、設置場所に電柱などの障害物がある場合は、3m程度の高さに変更されます。

日本相撲協会が主催する巡業で使用する相撲のぼり旗を立てるには、日本相撲協会の許可が必要です。のぼり旗の作成も日本相撲協会専門の染業者へ依頼します。巡業先の会場などに相撲のぼりを立てたい場合は、日本相撲協会へ問い合せましょう。

相撲のぼりは、綿生地に職人が一つひとつ文字や絵を手書きし、色を染めて作られます。

相撲のぼり旗を作るときは、真っ白な綿生地を固定し、文字や絵の字割りをします。字割りとは、配置する字や絵のバランスを決め、ガイドとなる線や枠を書くことです。字割りや文字の下書きには紫色の酸性染料であるヒコなどを使います。ヒコは綿生地に染まらず、水洗で落とせるためです。

のぼり旗に文字や絵の下書きをした後は染料を使って色を染め、水洗いしてから天日干しすると相撲のぼり旗が完成します。

相撲のぼり旗に力士の名前を書くときは、黒文字は使用しません。力士の黒星を連想させないためです。また、スポンサーの名前を書くときは、企業が赤字にならないようにという願いを込め、赤以外の色を使用します。

他にも、のしを描く部分には茶色や水色を使用しません。勝負に茶々を入れたり、水を差したりしないようにという意味があるためです。

相撲のぼり旗では、字の画数に応じて文字の大きさを変えたり、のぼりの上に書く文字を大きくしたりします。のぼりを見上げたときに、どの文字も同じサイズに見えるようにバランスを整えるためです。

四股名の下書きでは、相撲会場の見物席である桟敷(さじき)に見立てた1文字70cm四方の升目が書かれます。桟敷に見立てた升目になるべく隙間が出ないように文字を書くことで、桟敷がお客様でいっぱいになるようにという願いが込められます。

また、相撲のぼり旗に書かれる四股名は、力士の成績が右肩上がりになるようにという願いを込め、文字がやや右上りになるように書かれています。

・スポンサーの名前よりも力士の名前を大きく書く

相撲のぼり旗では、上部に四股名、下部にスポンサーの名前が書かれます。力士に遠慮するという意味を込め、スポンサーの名前は四股名よりも小さく書かれます。

・軍配には「贈」の文字を入れる

相撲協会からの注文により制作される相撲のぼり旗の場合、旗の上部には行司が持つうちわ形の道具である軍配の絵と「贈」の一文字が描かれます。

行司の苗字は木村家と武守家があり、木村家が持つ軍配には天下泰平、式守式が持つ軍配には太陽と月の図柄が書かれる決まりです。軍配のデザインがどちらかの行司に偏ることを避けるため、相撲協会により製作されるのぼり旗では「贈」という一文字を書く決まりがあります。

・のぼり旗に熨斗を描く

相撲のぼり旗の右横には、わらびの新芽をモチーフとした「わらび熨斗」が描かれる場合があります。熨斗は、現代では贈り物などに添えられる飾りとして用いられるものです。

熨斗は本来「熨斗鮑(のしあわび)」と呼ばれており、鮑の身を薄くそいで干し、水で引き伸ばしたものが神事の奉納の際などに用いられました。相撲は神事であるため、相撲のぼり旗に熨斗を描くことがあります。

相撲のぼりの購入は、相撲のぼり旗の専門店に依頼が必要です。サイズは巡業などで利用される5.4mの大きさでも作成可能です。価格は1枚3万円程度〜となり、制作には2〜3週間ほどかかります。

個人で楽しむ場合の相撲のぼり旗には、好きな力士の四股名と自分の名前を入れられます。なお、のぼり旗を立てるための竹棒は別売りです。

子どもの相撲大会などのイベントで活用できるような相撲をモチーフにしたのぼり旗は、一般的なのぼり旗業者でも作成可能です。600×1,800mの通常サイズの場合、1枚1,500円程度です。

自分でデザインを制作して印刷したり、別途デザイン料を2,000円〜5,500円かけ、データ制作をプロのデザイナーに依頼したりできます。のぼり旗の生地はポリエステル生地であるテトロポンジなどが使用され、デザインはインクで印刷されます。発送にかかる日数は、注文の詳細が確定後4〜5営業日程度です。

相撲のぼりを自作する際は、著作権や肖像権に触れる芸能人やキャラクターの画像などは、のぼり旗のデザインに使用できないため注意が必要です。