のぼり旗のチチとは?

のぼり旗のチチとは、のぼり旗のふちについている輪っか状の布のことです。チチはのぼり旗とポールをつなぐためにあり、のぼり旗のデザインに合うようチチの位置を変えたり、チチの数を増やすことで耐風性を強化したりすることができます。
のぼり旗のチチの語源と役割
のぼり旗の「チチ」とは、ポールをのぼり旗に固定するために付けられている輪形の部分を指す言葉です。のぼり旗の「チチ」の由来は、形状が乳首に似ていることにあるという説があります。のぼりは「乳付旗(ちつきばた)」と呼ばれる合戦時の軍旗をルーツにもち、現在チチと呼ばれる部分は「乳(ち)」や「乳布(ちぎれ)」と呼ばれていました。その名残で、現在でも住む地域によっては「チギレ」や「チギリ」と呼ばれることもあります。
のぼり旗をチチで固定するだけでは、のぼり旗がよれるのを防ぐのに十分ではないため、ポールの横棒の先端にはクリップがついています。これにチチを引っ掛けることで、のぼり旗が横方向によれるのを防ぐことができ、デザインが見やすくなります。
ただ、縦方向には基本的にのぼり旗の重力のみで張ることになるため、強風が吹くとチチがポールの上に巻き上がってのぼり旗のデザインが見えにくくなるという弱点もあります。巻き上がりを防ぐために、のぼり旗の下部におもり等の補助器具をつけたり、チチの代わりに棒袋縫い加工をしたりといった対策を取るとよいでしょう。
設置に関する詳細は「のぼりポールの種類と立て方!」をご覧下さい。
チチと棒袋縫い加工の違いと使い分け
のぼり旗のチチと同じように、ポールに旗を固定するために棒袋縫い加工も使われます。
棒袋縫い加工は、風への耐久度が強い、ポールの通しやすさ、デザイン性がチチと比べて優れています。チチよりも強風時でも巻き上がりにくく、風の影響でいたみやすいチチやチチを縫い付けている部分への生地の負担が少ないです。そのため、海沿いやビル街のような風が強い場所で役立つ加工です。また、袋縫い加工はチチやポールが目立ちにくく、旗の絵柄を前面に出すことができます。通常のチチ加工ののぼり旗と比べてデザインが見やすくなるので、宣伝効果だけでなく見た目にもこだわりたい場合にもおすすめです。
また、棒袋縫い加工はオプション料金がかかり、チチは無料で取り付けができます。コストを抑えたいときや風の心配がそれほどない場合はチチ、強風対策や旗のデザイン性を重視したい場合は棒袋縫い加工を選ぶとよいでしょう。
のぼり旗のチチの取り付け位置と個数
チチの取り付け位置
チチは一般的にのぼり旗の左側に取り付けられる(左チチ)ことが多いです。これは一般的な旗のポールの位置が左であることや、日本の車が左側通行であることなどが理由といわれています。ただ、通行人から見た位置によっては右チチのほうが見えやすいこともあるため、設置場所に応じてチチの位置を変えるとよいでしょう。
チチの位置 | 用途 |
左チチ |
一般的に見られるチチの位置 駐車場やドライブスルーに立てるのぼりなど、車に乗る人をターゲットにする場合には特におすすめ |
右チチ |
一般的に見られるチチの位置 門前や神社に続く階段などに左チチののぼり旗と左右対称に立てる場合にも右チチはおすすめ 他にも建物内の案内表示など、人の進行方向に対し右側にフロアがある場合に右チチののぼり旗が使われます |
チチ無し | ポスター風に壁などに張って展示する場合に使用されることがある |
変則チチ | 上チチにして吊り下げたり、長辺にチチをつけて横幕のようにしたりといった使い方ができる |
チチの個数
一般的なのぼり旗の場合、チチは上辺と左辺に均等な間隔で白色のチチがついています。たとえば、レギュラーサイズ(幅60cm×高さ180cm)ののぼりの場合、上辺に約30cmおきに3つ、左辺に約45cmおきに5つです。強風対策のためチチを使ってより丈夫なのぼり旗をつくりたい場合は、ここから間隔を狭め、チチの数を増やすとよいでしょう。
チチの位置をふまえたのぼり旗のデザインのポイント
一般的なのぼり旗に使われるチチの幅は約30mmです。のぼり旗と重なる部分も約30mm四方のため、旗をデザインするときは周囲に30mm程度のスペースを空けて文字や図柄を入れていただくと、チチとの重なりを防ぐことができます。
また、チチとのぼり旗のデザインの統一感を出したい場合、黒の背景ののぼり旗に黒チチを使うなど旗の色とチチの色を合わせたり、オールブラックのポールスタンドと合わせて設置したりする工夫もおすすめです。
のぼり旗を自作する際におすすめのチチ
学園祭や体育祭などの学校行事やスポーツ応援でのぼり旗を自作する場合、チチの部分にはチチテープを使うと便利です。チチテープは裏面の粘着テープをのぼり旗に付けるだけで簡単にチチが出来上がります。チチテープ1枚40円ほどで売られているため、通常サイズののぼりであれば、40円×8か所の20円ほどでのぼり1枚分購入できます。
また、のぼり旗を使う機会が、一度きりで強度を気にしなくて良い場合は、布をチチの形に切り、接着剤などで止めたものでもチチとして使えます。逆にチチ部分の強度を上げたい場合は、のぼり旗とチチの接着部分をミシンで縫い付けるのもおすすめです。
のぼりの詳細の作り方に関しては、「のぼりを手作りしてみよう」を参考にしてみてください。